国旗に十字架さらには9年ぶりの点灯など、北方領土・貝殻島の灯台でロシア側による動きが活発化しています。
ロシア側の思惑とはー
STVは「灯台を修理した」というロシアの関係者に話を聞きました。
根室半島の先端・納沙布岬から見えたのは
煌々と灯った白いあかり。
先月下旬、海上保安庁の巡視船が貝殻島灯台が点灯しているのを確認しました。
およそ9年ぶりの点灯です。
7月以降、この北方領土・貝殻島には次々と動きがー
灯台の最上部にはためくロシア国旗。
ことし7月下旬に撮影された写真です。
外務省は即座にロシア大使館に抗議。
しかし、そのわずか2週間後…
今度はロシア正教会が「イコン」と呼ばれる宗教画と十字架を貝殻島灯台に設置。
さらに先月24日には、灯台の外壁が白く塗られているのを海上保安庁の巡視船が発見。
数人が何らかの作業をしているのも見えたといいます。
納沙布岬からわずか3.7キロの距離にある北方領土の貝殻島灯台。
この灯台が建てられたのは戦前の1937年。
船の安全な航海のために建設したのは日本です。
しかし北方領土が占拠されて以来、ロシアによる実効支配が続けられてきました。
ここ最近の急速な動きは、誰がなんの目的で…?
STVはこの写真を撮ったロシアの団体の関係者に直接話を聞きました。
(ロシア地理学会の職員)「今年の8月の終わりに私たちの専門家とロシア地理学会のメンバーでこの灯台を修理した。灯台は長い間運用されていなかったが、ようやく運用されるようになった。つまりこの海域の航行の安全性を高めるという、ごく普通のことなんだ」
貝殻島と同じ歯舞群島のひとつ、勇留島出身の元島民は怒りを隠せません。
(勇留島出身 角鹿泰司さん)「怒りを覚えています。ロシアが実効支配を誇示していることは間違いない。私たちは猛反対しなければならない」
専門家は、まずロシア国内にメッセージを伝える思惑があると指摘します。
(東海大学 山田吉彦教授)「貝殻島コンブ漁や北方領土産のウニを根室側が買い取っているということに関して、ロシア国内に対して日本と交流していても(ロシアの)主権を守っているんだということを主張したい」
なぜここにきて動きが活発になっているのか。
それは日本に対してのメッセージだといいます。
(東海大学 山田吉彦教授)「北方領土はロシアの支配下にあるのだということを、このウクライナ情勢下でも改めて日本に伝えている」
貝殻島でいまなにが…
灯台は日本人の目に入りやすい立地だけに、ロシアが自らの主張をアピールする格好の場になっていると言えそうです。