年収の壁「106万円」保険料軽減、対策企業に助成金…政府決定

政府は27日、全世代型社会保障構築本部の持ち回り会議で、年収が一定額に達すると年金などの社会保険料負担で手取りが減ってしまう「年収の壁」対策パッケージを決定した。労使双方の保険料負担を軽減する仕組みを設け、企業の対策を後押ししたのが特徴だ。
従業員が101人以上の企業で社会保険料の納付義務が生じる「年収106万円の壁」では、従業員の手取り減少対策に取り組んだ企業を対象に、従業員1人あたり最大50万円を助成する制度を設ける。
対象となる取り組みには、賃上げや勤務時間延長などのほか、新たに創設される「社会保険適用促進手当」を従業員に支払った場合も含める。同手当は、従業員の保険料負担を軽減するために最大2年間支給でき、支給した企業の保険料負担も軽くする仕組みだ。
厚生労働省は、「106万円の壁」を意識して就労時間を抑制している可能性のあるパート労働者らを約45万人と見込んでいる。今回の対策を通じて、これらの人の労働時間延長を促し、企業の人手不足解消につなげたい考えだ。
このほか、従業員100人以下の企業では、会社員の夫らの扶養から外れる年収130万円を超えても、健康保険組合など保険者の判断で連続2年までは扶養にとどまれるようにする。中小企業には、配偶者手当の見直しを働きかける。
対策は10月から順次実施。政府は、2025年の年金制度改革に合わせて抜本的な対策を検討する方針だ。

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