東京都台東区の松村智成区議(50)=自民=が9月20日の区議会で、「偏向した教材や偏った指導があれば(児童たちを)同性愛へ誘導しかねない」と発言したことについて、区教育委員会指導課は2日の区議会区民文教委員会で「(教育で)性的指向について誘導ということは考えていない」と述べた。共産党区議団の質問に答えた。
同委員会は松村氏が副委員長を務めており、委員会では20日の発言への批判が上がった。「台東にじいろの会(立憲・れいわ)」の風沢純子区議は「同性婚訴訟を通じて(性的指向は)意思によって変えられないとの判決が札幌地裁で出ている。一般質問を通じて誤解を広めた責任は極めて重い」と指摘。同会派は、発言の撤回と謝罪を求める申し入れ書を松村氏と自民会派の石塚猛幹事長宛てに提出し、委員会の場で発言を求めたが、松村氏は応じなかった。
松村氏は取材に対し「答えないものは答えない」と話し、石塚氏も「これから党として対応を考える。今日話せることはない」と述べた。
この日はLGBTQ当事者ら約20人が傍聴。性的少数者の権利向上に取り組む市民団体のワインさんは「ニュースで発言を知った。恋愛感情を持つかどうか、それが誰に向くかは教科書に誘導されるものではないことは皆体感としてあると思う。誤った言説を広げないでほしい」と話した。【南茂芽育】