36人が死亡し、32人が重軽傷を負った2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第11回公判が2日、京都地裁であり、証人尋問が行われた。京アニの八田英明社長が証人出廷し、青葉被告や犠牲になった社員への思いを語った。
スーツ姿で地裁を訪れた八田社長は、報道陣に一礼してから入廷。証人尋問が始まる前、青葉被告の前には 遮蔽 板が設けられた。
公判で検察側は、青葉被告は京アニに応募した作品が落選し、アイデアを盗まれたとの妄想を一方的に募らせ、筋違いの恨みで犯行に至ったと主張している。
八田社長は、検察側から青葉被告への思いを聞かれ、「当社は人様のアイデアを盗んだりする会社ではない。被告の思い込みでこんな事件が起きてしまったことは、断腸の思いだ。ちゃんとした判決が出ると信じている」と絞り出した。
1981年の創業当初については、「アニメが活況を呈してきた頃。ものづくりの町・京都は、仕事をする上で適していると思った」などと振り返った。「社員はみんな優秀で、将来の夢を持つ人ばかりでした」と述べ、印象深い社員として「らき☆すた」で監督を務めた武本康弘さん(当時47歳)と、「 涼宮 ハルヒの 憂鬱 」で総作画監督を務めた寺脇晶子さん(ペンネーム・池田晶子さん、当時44歳)の名前を挙げた。2人はいずれも事件で亡くなった。
八田社長は初公判の前、弁護士を通じて「亡くなられた社員、被害に遭った社員、近しい方々の無念を思うと、心が痛むばかりです。法の定めるところに従い、しかるべき対応と判断をいただくほかないと承知しております」とのコメントを出していた。