水俣病訴訟、国と熊本県が控訴=大阪地裁判決に不服

水俣病特別措置法の救済対象から外れた13府県に住む128人が、国と熊本県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた訴訟で、国と県は10日、原告全員を水俣病と認定し賠償を命じた大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。チッソは4日付で控訴している。
環境省で記者団の取材に応じた伊藤信太郎環境相は大阪地裁判決について、世界保健機関(WHO)の基準値を下回るメチル水銀の濃度でも水俣病発症を認めているなどと指摘。「これまでの国際的な科学的知見や最高裁判決の内容と大きく異なる」として、高裁の判断を仰ぐ必要があることを控訴理由に挙げた。
また、熊本県の蒲島郁夫知事は県庁で記者団に対し「(被害者から)早期救済の声が上がっているのは承知している。ただ、司法の一貫性は大事だ」と述べた。
一方、大阪市内で記者会見した高齢の原告らからは反発の声が上がった。前田芳枝さん(74)は「私たち原告を切り捨てた。改めて怒り心頭だ」と声を震わせた。本良夫さん(67)は「少しでも心の苦しさがなくなるよう、一刻も早く(訴訟を)終わらせて」と訴えた。
[時事通信社]

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