水俣病の認定訴訟、国が控訴へ 被害判断への影響考慮

水俣病特別措置法の対象外となった原告128人全員を水俣病と認定し、国と熊本県、原因企業チッソに賠償を命じた大阪地裁判決について、政府が判決を不服として控訴する方針を固めたことが10日、政府関係者への取材で分かった。控訴期限は11日。
政府は、今回の判決を受け入れれば、感覚障害と他の症状の組み合わせを原則とした国の1977年判断条件による患者認定の枠組みに影響を与えかねないと判断。新潟、東京、熊本の各地裁で同種の訴訟が係争中であることも考慮したとみられる。
2009年に施行された特措法は約3万8千人を新たな救済対象とし、一時金を支給するなどした。一方で、原則として、不知火海(八代海)周辺の熊本、鹿児島両県の9市町の沿岸部などに居住歴があり、1969年11月末までに生まれた人などに限定した。
大阪地裁判決は、特措法の対象の地域や年代から外れた人でも、メチル水銀に汚染された魚介類を多食すれば発症する可能性があると指摘。水銀暴露から長期間が経過した後に発症する遅発性水俣病の存在を認めた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする