〈 《高知“壮絶リンチ”1人死亡》“首から手の平までガッツリタトゥー”逮捕のヤンキー兄弟“ワルの一本道”「違法薬物をめぐるトラブルか?」 〉から続く
9月27日深夜、高知市の高速道路脇の人目につかない側道で、20代の男5人が同じく20代の男性2人に壮絶なリンチを加え、1人が死亡した事件。高知県警は、現場の側道にいた永橋龍和容疑者(23)のほか、兄の永橋雄翔容疑者(25)、高橋朋也容疑者(23)、田岡大河容疑者(22)、森田匠容疑者(24)の5人それぞれを傷害容疑などで逮捕した。
亡くなった男性は鼻骨が折れた状態で発見され、激しい暴行を加えられた形跡があったという。犯行の引き金は違法薬物をめぐるトラブルだったとみられる。
友人には『金属バットでボコボコに殴った』と残虐な犯行を語る
「事件は、被害者男性が5人の大麻を持ち逃げしたことに起因しているようです。龍和は現場ですぐに逮捕されましたが、兄の雄翔らは出頭して逮捕されるまで2日の間がありました。その間、雄翔は親しかった知人に『亡くなった男性の顔に袋をかけ、金属バットでボコボコに殴った』と残虐な犯行を語っていました。また被害者の指は10本全部折られていたようで、男性の葬儀中も親族の怒りは全く収まる様子がありませんでした」(知人)
5人は地元の解体業に従事する仕事仲間。事件直後に逮捕された龍和容疑者の中学生時代のSNSに、「呑みきた」といった言葉と共にアップされた写真には、タバコと酒が写り込むなど学生時代から非行に手を染めてきた様子が窺える。
父親の影響で女性暴力的な兄と、ノリで非行に走る弟
逮捕された永橋兄弟2人は、高知では札付きのワルとして有名だったようだ。永橋兄弟の知人が語る。
「3年ほど前に病死した永橋兄弟の父親は小指のない元ヤクザで、母親は足が悪くアルコール依存症で苦しんでいました。父親はヤクザを辞めた後は介護施設を経営していましたが、うまくいかず生活保護を受給し恵まれた家庭ではなかった。両親は子供の生活を気にしないタイプだったので、小学校の高学年ぐらいから家に友達が集まって、酒やタバコを当たり前のようにやっていましたよ。
弟の龍和はノリで非行に走るけど、根は動物を大事にする優しいヤツでした。一方、兄の雄翔は幼い頃から父親が手をあげていた影響もあったのか、女性にも平気で暴力をふるう粗暴な性格でした。既婚者で妻にも手をあげていたようです。
中学生の頃には学校に設置された自販機を壊してたびたび小銭を盗んでいたので、自販機に鍵がつきました。首から手の平まである全身タトゥーは、彫り師にお願いするだけでなく、自ら針を刺し墨汁を入れるほどデザインへのこだわりが強かった」
5人が大麻にハマっていったきっかけ
兄の雄翔容疑者はたびたび暴行を働き、警察沙汰になることも珍しくなかったという。5人が飲酒をした際、仲間内で殴り合いの喧嘩をする姿なども地元では目撃されていた。今回の事件のきっかけになったという大麻を5人が吸っていたことも、地元ではよく知られていたという。別の知人が話す。
「4年ほど前から自宅やラブホに、今回逮捕されたメンバー以外にも仲の良い男女を誘って酒を飲みながら大麻パーティーを頻繁に繰り返していました。ほぼ毎日吸っていたと思いますよ。もっと言えば事件現場の高速道路脇の側道も、そもそも5人が大麻を吸うたまり場だったので、地元の人間は近づかないように気を付けていました」
メンバーのリーダー格は兄の雄翔容疑者だったというが、一方で5人が大麻にハマっていったきっかけは、逮捕された高橋容疑者の影響だという。別の知人が続ける。
ツイッターで売人と知り合い、大阪まで大麻を仕入れにいっていた
「朋也(高橋容疑者)は龍和の中学校の同級生です。通っていた当時の中学校を高知随一のヤンキー校として有名にした人物です。龍和は朋也の金魚の糞ぐらいのイメージで、世代を引っ張っていたのは朋也でした。
喧嘩も強かったし、自転車をパクって補導されたりしていた。大人になってからはウナギの稚魚の密漁に関わって警察の世話になったと聞きました。朋也はヒップホップが好きだったことも影響したのか、当時付き合っていた彼女と一緒に大麻にハマり、コカインにも手を出していたようです。
親は看護師ですし他のきょうだいはまともなんですが、なんで朋也だけがあんなに暴れる性格になったのかはわかりません。高校を中退してからは何をやっているのかわかりませんでした。ただ、今は結婚し子供も1人いると聞いていたので少しは落ち着いてきたと思っていたのですが……」
永橋兄弟の知人らによると、高橋容疑者をのぞく永橋兄弟ら4人は、解体の仕事に精を出していた。高橋容疑者だけが仕事に入る頻度が少なかったという。
「朋也はツイッター(現X)で売人と知り合い、大阪までわざわざ大麻を仕入れにいっていたようです。それにタバコの葉を混ぜて、雄翔ら今回逮捕されたメンバーや知人に高値を吹っかけて売り、差額を懐に入れていたという話もあります。あまり金には困っていなかったと思いますね。5人はいずれも喧嘩っぱやいヤツらでしたが、まさかここまでのヤバい事件を起こすとは思いませんでした」(5人を知る知人)
メンバーで集まり大麻を吸っていたという事件現場で、なぜ暴行はエスカレートし男性が死亡する結果を招いてしまったのか――。県警は経緯を慎重に調べている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)