旧統一教会への解散命令請求、自民「幕引きへ大きな動き」と評価…野党は接点追及の構え

政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に踏み切ることを巡り、教団との関係断絶を図ってきた自民党内からは、「幕引きに向けた大きな動きだ」と評価する声が出た。野党は20日召集の臨時国会で、自民と教団の接点を引き続き追及する構えだ。
「自民の国会議員は関係を遮断していると認識している。これからも徹底するよう努力を続けていきたい」
岸田首相(党総裁)は12日夕、首相官邸で記者団にこう強調した。
自民の萩生田政調会長は過去に自らと教団関連団体につながりがあったことを踏まえ、「関係を断ち、適切な政治活動を心がけている。今後もさらにコンプライアンスの順守に努めていく」との声明を発表した。
遠藤利明・前総務会長は東京都内の会合で解散命令請求について、「被害者救済の一つの大きなきっかけになる」と期待感を示した。
自民は昨年9月、党所属国会議員379人のうち、179人(後に180人に増加)に教団と接点があったとする調査結果を公表し、関係断絶を宣言した。しかし、内閣支持率は下落し、教団との関係が浮上した山際大志郎経済再生相(当時)らが辞任に追い込まれた。
自民内では、教団への解散命令請求の段階に入ったことについて、首相が衆院解散・総選挙を検討する中、「大きな区切りで、選挙の不安材料が一つ取り除かれた」と見る向きが多い。
もっとも、新たな接点が今後、明るみに出れば、政権への打撃は大きい。閣僚経験者は「追い詰められた教団側が反撃に出る恐れがある」と懸念を示した。
一方、野党は国会審議で自民と教団との関係に再び焦点を当てたい考えだ。
立憲民主党の泉代表は12日、国会内で記者団に、「被害は拡大しており、(請求は)遅すぎる」と批判し、「政権与党との関係ははっきりさせないといけない」と述べた。共産党の小池書記局長は記者会見で、「(教団と)自民の癒着の問題は臨時国会の重要なテーマになる」と指摘した。
野党間には温度差もある。国民民主党の玉木代表は同日、国会内で「大切なことは被害者救済が進むことだ。救済に向けた意味ある一歩になることを期待したい」と記者団に語った。日本維新の会の馬場代表は「解散命令請求が出されることは妥当な判断だ」とコメントした。

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