甲府地検事務官死亡、遺族が国を提訴 「長時間労働是正せず」

うつ病を再発した甲府地検事務官の男性(当時31歳)が自殺したのは、長時間労働を是正する義務を怠ったことなどが原因として、男性の両親と妻が16日、国に慰謝料など計約1億3300万円の損害賠償を求める訴訟を甲府地裁に起こした。
訴状によると、男性は2010年に採用され甲府地検都留支部で勤務してきたが、14年ごろにうつ病を発症し、症状が収まる20年12月まで治療を受けていた。
21年4月から総務課で勤務していたが、上司の係長の厳しい指導のもとで残業や休日出勤が多くなった。遺族の代理人弁護士によると、東京高検がまとめた調査報告では、時間外労働が約160時間にのぼる月もあったという。
男性は22年8月から再び通院するようになり、23年1月、地検の駐車場で自殺した。
訴状では「上司の厳しい指導や長時間勤務を把握することを怠り是正措置をとらなかった結果、うつ病を再発するに至った」と訴えている。
16日に男性の両親とともに甲府市内で記者会見した代理人の松丸正弁護士は「法の番人である検察で起きた問題。報告書では極度の長時間労働を認めながら、不適切な対応はなかったとしている結論に強い違和感を覚える」と指摘した。提訴に併せて公務災害の認定も請求した。
甲府地検は「訴状を確認していないのでコメントは差し控える」としている。【大和田香織】
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