離婚調停中の妻殺害 米国籍の男「心神喪失」で無罪主張 東京地裁初公判

平成31年3月、東京家裁で離婚調停中の妻を切り付けて殺害したとして殺人などの罪に問われた米国籍の無職、ジェイコブ・ウィルソン被告(37)の裁判員裁判初公判が1日、東京地裁(向井香津子裁判長)で開かれた。弁護側は統合失調症の影響があり、心神喪失状態だったとして無罪を主張。被告は英語で通訳を介し「何も話したくありません」と述べた。
検察側は冒頭陳述で、被告が妻の香子(きょうこ)さん=当時(31)=から離婚や自宅からの退去などを求められたことに怒りを募らせていたと指摘。離婚調停のために家裁を訪れた香子さんを待ち伏せ、殺害したとした。弁護側は、事件当時は統合失調症が悪化しており、妄想や幻聴に従って犯行に至ったと主張した。
起訴状によると、31年3月20日午後、東京都千代田区の東京家裁1階玄関で、香子さんの首を背後からナイフで切りつけ失血死させたとしている。
香子さんは30年8月、警視庁に「別居中の夫が精神的に不安定だ」などと相談、長男とともにシェルターに避難していた。東京地検は鑑定留置の結果、刑事責任能力に問題はないとして令和元年8月に起訴。その後、2度目の精神鑑定で統合失調症と診断された。

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