「PL野球留学、独学で神戸大学…全てウソ」警官と信じ込ませた“詐欺男”懲役3年求刑

自身が警察官であると数年にわたり交際女性に信じこませ、多額の現金をだまし取った罪などに問われている男。14日の裁判では被害女性が意見陳述を行い、「ことごとく人の思いを踏みにじる悪魔だと思う」などと述べました。 大阪市生野区の元トラック運転手・吉川剛司被告(36)は、▼2019年11月から2021年10月にかけ、当時交際していた女性が、被告が警察官であると信じていたことに乗じて計195万円をだまし取った罪や、▼2020年10月と去年10月に、親戚の警察官の自宅から制服を盗んだ罪などに問われています。 吉川被告は“自分は警察庁のキャリア官僚だ”と嘘をつき、警察官の制服姿の写真を送ったり、女性に会う際も制服を着たりするなど、警察官を演じ切っていました。 《別の女性の中絶費用で107万円必要に さらに別の女性と結婚》 裁判では、吉川被告が様々な女性と関係を持っていたことも判明しました。被害女性と交際しながら、別の女性を妊娠させて中絶費用として107万円を請求されていたほか、さらに別の女性と結婚して子どもがいました。 犯行動機は、中絶費用や、妻との生活費や子ども用品の購入費を捻出したかったことなどで、吉川被告はこれまでの裁判で、「間違いありません」と起訴内容を認めています。 《被害女性が意見陳述「私をATMとみなしていた」》 9月14日に大阪地裁で開かれた公判では、被害女性が意見陳述しました。 「(吉川被告と)マッチングアプリで知り合った頃、PL学園に野球留学し、独学で神戸大学にストレート入学したという話(これもウソ)を聞いて、目標に向かって困難な環境を言い訳にしない強い意志に感動しました」 「拉致被害者救済のため北朝鮮に渡航したこと、インターポールへの赴任が決定したこと…すべてウソでした。ことごとく人の思いを踏みにじる悪魔だと思いました」 「被告は私をATMとみなしていたと理解せざるを得ません。小さな命を殺めた中絶に加担してしまったのだと思うとヘドが出ます」「ひとつの区切りとして重い実刑判決を求めます」 《求刑は懲役3年 判決は来月23日》 検察官は、「恋慕の情をもてあそび、心情を踏みにじった極めて悪質な犯行」などとして懲役3年を求刑しました。 一方、弁護人は「警察官への憧れから犯行を始めたのであり、最初から詐欺目的で警察官を装ったわけではない」などとして、執行猶予付きの判決を求めました。判決は10月23日に言い渡されます。 吉川被告の最終陳述の言葉です。 「自分がしてしまったことに対し、被害女性やその家族に申し訳ないことをしたと思っている。この場を借りてお詫びを申し上げます。心の傷はお金には換えられないので、その部分の償いは生涯をかけて考えていきたいと思います」

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