細田衆院議長に50回以上“無視され続けた”記者が会見を検証 旧統一教会・セクハラ疑惑【news23】

旧統一教会とのつながりやセクハラ疑惑が指摘された細田博之衆議院議長が会見を開きました。細田議長はこれまで公の場では説明せず、文書で説明してきました。直接話を聞きたいと、50回以上にわたり細田議長に直撃取材をし、無視され続けた記者がいます。ようやく開かれた会見をどう見たのか、聞きました。
細田衆院議長「特別な関係はございません」
山本恵里伽キャスター:細田議長の会見に出席したnews23の宮本晴代記者、そしてTBSラジオの澤田大樹記者とお伝えしていきます。
喜入友浩キャスター:澤田さんは、公の場での説明を拒んできた細田議長に50回以上にわたり直撃取材を行い、無視され続けてきた記者です。
ようやく開かれた会見、細田議長は説明責任を果たしたのでしょうか。
Q.細田議長自体は、旧統一教会をどう思っているのか。細田博之衆議院議長「いや…それは分かりませんが、解散(命令)請求についての判断は急に今回出たこと」
解散命令請求が出された旧統一教会への認識を問われ、「分からない」と述べた細田衆院議長。教団との関わりについて、ようやくカメラの前で口を開きました。しかし…
Q.旧統一教会関連団体の会合への出席が8回もあるなど、他の議員に比べ突出している。どういった経緯で教団と関係を持つようになったのか。
細田議長「ちょっとよく分からなかったので」
会見スタッフ「もう一度よろしいですか」
Q.継続して関係を深めるに至った理由は。
細田議長「特別な関係はございません。これまでも、呼ばれれば出るという程度の問題であります」
街の声「1人でも被害者がいるのであればセクハラ」
教団との関係が指摘されていた細田氏。関連団体のトップとガッツポーズで写真に収まり、韓鶴子総裁が出席したイベントでは…
細田議長(2019年のイベントで)「韓鶴子総裁の提唱によって実現した、この国際指導者会議の場は、大変意義が深いわけでございます。安倍総理に早速ご報告したいと考えております」
一方、今回(13日)の会見では…
細田議長「安倍総理に伝えておりません。リップサービスで『安倍総理にもお伝えしましょう』ということを言って。それは行き過ぎであったと思う」
母親が旧統一教会に約1億7000万円献金した人は、「リップサービス」発言に憤ります。
母親が旧統一教会に約1億7000万円献金した人「常識的に考えても、そんな軽々しい嘘がつけるのもびっくりしますし、そんなこと言ったら、旧統一教会の人めちゃくちゃ怒りますよ。
私も母が信者だったのでよく知っていますが、本当に旧統一教会の人たちは熱心なんです。旧統一教会側からしたら、自民党の議長の方まで出て来られて応援してくれてるというお墨付きになっちゃう。
個人的には旧統一教会の罪より、癒着してきた政治家の罪の方が大きいと思う」
今回の会見は、体調不良による議長辞任に関するもの。ただ、国会議員は続けるといいます。
細田氏をめぐっては2022年5月、複数の女性記者へのセクハラ発言疑惑を週刊文春が報道。
これまで、公の場で説明してきませんでしたが…
細田議長(13日の会見で)「『MeToo』がないじゃないですか。私のところに1件もないんですよ。
3人でも4人でも被害者がいる。それが大事なことですね。どうして私が“セクハラ議長”などと言われなければならないのか、心当たりがないわけです」
セクハラの事実はないとして、持論を並べた細田氏。街の人は…
街の人「1人でも被害者がいるのであれば、複数とか関係なしにセクハラ」
「声が上がらないからといって(セクハラが)ないと捉えるのは、ちょっと疑問があります」
旧統一教会と、セクハラ疑惑。聞きたいことは山ほどありますが…
細田議長「どうもありがとうございます。すいぶんお答えしたと思います」
記者「みなさん、まだ質問がある方がいらっしゃるので、受けていただけないでしょうか」
細田議長「なぜ退陣するのかという記者会見ですから、きょうの話は。今まで十分お答えしてますから」
記者「お答えされてこなかったじゃないですか、1年5か月。説明されなかったからですよ、これだけ質問が出るのは」
細田議長「だけど今日説明しましたし」
記者「まだまだ手挙がってるじゃないですか」
細田議長「私なりに誠意を示したと思っています」
50回以上の“議長チャレンジ”に対する反応
山本キャスター:13日の会見、宮本さんもずっと手を挙げ続けていましたけれども、あてられず終わってしまいました。
宮本記者:はい、残念ながら。もしかしたら“NG記者”になっていたのかもしれません。
そもそも細田議長は、旧統一教会の問題に関してこれまでどう説明してきたかというと、していないんですね。紙の文書を2回出しました。これだけ。
セクハラの問題に関しては出版社に対して訴えを起こしていて、その出版社に送った抗議文を公表するという形でした。
事実無根ということ以上に、何にも説明が詳しくされていない。私たち記者側も、会見をしてほしいということをずっと申し入れてきたのですが、1年以上なかったという状態です。
そんな状況で、TBSラジオの澤田記者がどうしても議長に話を聞きたいということで始めたのが“議長チャレンジ”というものです。もう50回以上、機会をとらえて議長に話しかけ続けました。SNSでも公開してきたんですけれども、その様子をぜひご覧ください。
●2022年9月14日
澤田記者「議長、TBSラジオです。統一教会との関係は公表されないんでしょうか。公表されないんですか、議長」
「議長、沈黙のままなのでしょうか。言論の府の長ですよね、議長」
再三の要請にも関わらず会見は開かれず、文書での回答のみでした。
●2022年10月3日
他の記者「記者会見されるご予定はありますか?」
細田議長「なるべく早く(コメント文を)出しますから」
澤田記者「また紙だけなんですか」
●2022年10月25日
澤田記者「(山際)大臣が教団との関係で辞任されましたが、説明はないんですか」
細田議長「(本会議での)野田さんの追悼演説、よかったね」
●2022年12月10日
澤田記者「議長、何も答えないまま年を越すんですか」
●2023年1月19日
澤田記者「会見されないんですか、議長」
●2023年4月7日
澤田記者「議長、夜に女性記者に電話を掛けて、呼び出したりっていうことはなかったのですか。お答えください、議長」
●2023年6月1日
澤田記者「議長、セクハラ報道から1年になりますが、公の場でコメントされないのはなぜでしょうか」
セクハラ疑惑を問うときだけ細田議長の反応は変わった?
山本キャスター:50回以上無視ですか…なかなかですね。
喜入キャスター:心折れそうですね。顔はもう覚えられてますよね、きっと。
澤田記者:そうですね。今回の会見で質問できたんですけれども、議長はこちらをずっと見ていましたね。
山本キャスター:結構、目は合いましたか。
澤田記者:4、5回合いました。
山本キャスター:これだけ無視をされ続けてきた。どうでした、これまで。
澤田記者:無視といいつつ、目は必ず毎回合うんですよ。必ず右手を挙げて、エレベーターから降りてくると、今度は左手を挙げるという。
最初は旧統一教会の質問をずっとしていたんですが、毎回同じだと反応がないなと思って、セクハラの話を1回あてたんですね。そうしたら、その時は手を挙げなかったんです。
だから議長にとって、セクハラについて聞かれるのは本当に嫌なことなんじゃないかって、思ったんです。
山本キャスター:質問によって反応がちょっと違った、と。
そうやって50回以上、これまで無視をされ続けてきたわけですが、今回ようやく会見で質問することができました。教団との関係について問いただしていましたが、感触はどうでしたか。
澤田記者:やはり今回は聞かれることがいくつか絞られてくるだろうと、多分、議長サイドでは思っていたはずです。
というのも、答弁ラインがあまり変わらなかった。同じ質問を何度かあてていくのですが、そこはずれない、ぶれないんですね。
たとえばセクハラの話でいうと、「被害を訴えている人がいるのか」「名乗り出ている人がいるのか」ということを言ってくる。でも詳しい話にいこうとすると、「いや、それは裁判をやっているから」と答える。
教団との話については「わからない」とか「関係ない」とか、パーティーとかには「呼ばれたから行っただけだ」と。
安倍さんとの関係についても、極力「わからない」とか、答えないという形になっていました。
それで、議長を今回辞める。その理由は「健康に問題がある」ということなんですが、「議員は続けます」と。
「それは整合性が取れるんですか」と聞くと、病状の説明はするけれども、やれるかどうかということについては詳しく述べない…というふうに、一定のラインがずっとぶれないままありました。
山本キャスター:主に3つの議題があって、それの最後のゴールはすべて同じだったという感じは確かにありますね。
澤田記者:ところが違う話をちょっと聞くと、ものすごく詳しく話すこともありました。
山本キャスター:確かに澤田さんの質問に対しても、結構具体的な話が出てきていましたもんね。
澤田記者:そうなんです。誰がいつの選挙で何万票を獲得した、それで当選した、落選したということが、議長は全部頭に入っています。
細田議長が提案する“自由な会話”=オフレコ取材か
山本キャスター:この会見のなかで特に印象的だったのが、先ほど澤田さんも言ったように、セクハラ疑惑に関して、すごく強気に否定をしていたような気がしたんですが、宮本さんはどう感じましたか。
宮本記者:はい、私もそこは印象的でした。
今回セクハラ疑惑について問われて、議長は「『MeToo』と言い出した人がいない」「私のところに1人も名乗り出てこない」とおっしゃっていました。
ただ、そもそもセクハラということを考えてみますと、力関係のなかで起きるわけです。細田さんは議長、かつ政治家。ある意味で、一番権力をお持ちの方です。その方に対して、何かをされても名乗り出ることができる方が、どれぐらいいるだろうかということです。
ですので、そこのところに思いが至っていないというか、そもそもセクハラがどうして起きるのかという構造を理解していないのかな、というのが今回の印象です。
山本キャスター:確かに、「単なる噂話として言われていると私は思っている」という発言があるなど、そのずれというものを感じた会見だったなと。
喜入キャスター:モヤモヤしたまま終わって、何も完結していないようなところで、(記者たちは)改めて会見を求めていましたね。
澤田記者:そうですね。やはり今回、語られなかったことが実は多かったというのと、旧統一教会の問題に関しては、質問に対する答えがみ合わないというシーンがずっと繰り返されていました。こちらが求めている答えが、ちゃんと打ち返されてこない状態がずっと…
しかも最初は30分というすごく短い枠だったので、すごくストレスフルになっていて、結果、何もわからなかったというのが正直なところかなと思います。
宮本記者:こちら側も「会見やめないでください」「次の会見やってください」「再びお願いします」と言ったんですが、それに対して細田さんがおっしゃったのが、「今度は会見ではなくて、自由な会話をしましょう」と。ちょっと真意をつかみかねます。
でもこれ、噛み砕いて申し上げると、自由な会話というのは、政治家と記者の間で、誰が何を言った、誰が言ったと明らかにしない形での、いわゆる“オフレコ取材”だったら応じますよという意味だと思うんです。
山本キャスター:それは国民に向けて、有権者に向けてではないということですよね。
宮本記者:おっしゃるとおりです。つまりそれは「永田町の政治村の住人だったらわかるでしょ」というメッセージなんです。
でも、ちっともそれは有権者の方を向いていないですし、国民には伝わらないですよね。
山本キャスター:澤田さんはどうですか。これからも追及はやっぱり続けていきますよね。
澤田記者:そうですね。議長ではなくなると、警護がいなくなるんです。今まで最大だと10人ぐらいの警護がいたんですが、それがまったくいなくなるので、私としては聞き放題になります。
山本キャスター:聞き放題になる。これからさらに追及は進めていくと。わかりました。議長チャレンジではなくなりますけれども、引き続きよろしくお願いいたします。

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