岸田首相が提唱? 「適温経済」に広がる困惑 「国民をやゆ」危惧する声も

岸田文雄首相が25日夜に経済対策を発表した際、「適温経済」という単語を使ったことへの困惑が永田町などで広がっている。「証券など金融市場で使われる『適温相場』から引いた造語」(政府関係者)とみられるが、「『ほどほどの生活や行動をしていれば死なずに済む』と国民をやゆする意味に誤解されかねない」(証券会社幹部)と危惧する声も聞かれる。
関係者の話を総合すると、「適温相場」の表現は英国の童話「ゴルディロックスと3匹のくま」に基づく。父熊、母熊、子熊の3匹がそれぞれのボウルに盛り付けた朝食のスープが冷めるまで散歩に出る。その留守宅にゴルディロックスという名の少女が迷い込む。親熊のボウルは熱かったが子熊のそれはちょうど良い温度だったので飲み干す。その後、子熊用の椅子を壊し、子熊用のベッドで寝込む。帰ってきた3匹に起こされ、あわてて逃げ出すという内容だ。
「スープではなくかゆだった」など内容や解釈に諸説はあるが、金融業界では「大人のほうのスープや家具に手を付けなかったので殺されずに済み、そこそこの利益を得られた」(証券市場関係者)との意味で使われることもあるという。財務省のOBは「国民を見下しかねないのに語呂だけで使っている。取り巻きスタッフの危機管理ができていない」と嘆く。
政策面では「資産所得倍増」「新時代リアリズム外交」、政治姿勢では「聞く力」「一意専心」など岸田首相のキャッチフレーズへの執心は顕著だが、自民内からは「言葉より実績重視の姿勢に転じたほうが良い。的外れを批判されるだけ」(閣僚経験者)との懸念も強まっている。

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