「国全体として万博を成功させようとするのは当然」──。大阪・関西万博の会場建設費上振れ問題を巡り、やたらと「万博=国家事業」を強調している吉村府知事。連日の言い訳に“磨き”がかかってきた。
万博会場の建設費は当初予算の1.8倍となる2300億円程度に達する見通し。JNNの最新の世論調査によれば、予算増に「納得できない」と答えた人は64%に上る。「(万博に)あまり関心がない」「全く関心がない」は計62%だった。
万博の不人気ぶりが際立つ中、吉村氏はめげずに「国、自治体、経済界が一体となって成功させる」と繰り返すばかり。9月29日の定例囲み会見は、ツッコミどころ満載だった。
「万博に国が追加予算を組むのはいかがなものか」との疑問が自公関係者から出ているとの指摘に、吉村氏は「国民の税金は自民党のカネでもなければ、公明党のカネでもありません」などとイライラ。「(万博は)日本でいろんな技術革新、新たな未来社会をつくって次の成長につなげていこうよって事業なんだから、『自民党が』『維新が』という話ではない」と、約6分にわたって長広舌を振るった。
国頼みの姿勢に苦言を呈する国会議員を念頭に、「最後は自分のポジションを大切にしているんでしょ」「情けない」と逆ギレ。万博誘致・開催を維新の会の党勢拡大に利用してきたクセに、最後は国に泣きつく自身の姿勢を棚に上げて一体どの口が言うのか。
まさに「死人に口なし」
関西出身でなくとも「誰が言うとんねん!」とツッコみたくなるポイントはまだある。
吉村氏は言うに事欠いたのか、「(万博誘致は)維新が最初提案して、決定したのは当時の安倍総理ですよ」と故人を引き合いに。「国の技術革新を考えた時に『やっぱり日本の未来に(万博が)必要だよね』っていうのは、当時の安倍総理が判断してくれたわけです」と続けた。
以降、会見が終わるまで、遺志と言わんばかりに「安倍総理」の名を連呼。「安倍総理が判断してくれて」「安倍総理は『国のために万博って必要だよね』っていうふうに思って判断された」──。まさに、「死人に口なし」。まさか「故人がこうした、ああ言った」と訴える“イタコ作戦”に出るとは、あまりにも見苦しい。
会見の最後は「次世代のことを本当に考えて、明治維新の志士みたいな、ああいう人たちに政治をやってもらいたいなあ」とボヤいてみせた吉村氏。負担増を強いられる国民に思いを馳せない男が、「志士」でないことは確かである。