札幌市とJOCはきょう、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を断念することを正式に決めました。
聖火が札幌から遠のく現実を、市民やアスリートはどう受け止めているのでしょうか。
札幌市が招致を目指していた2030年冬季大会について、きょう大きな決断が下されました。
(日本オリンピック委員会 山下泰裕会長)「2030年冬季大会の招致を目指して参りましたが、昨今の状況から2030年大会の招致を中止し、34年以降の開催の可能性を探る」
30年大会の招致を断念すると正式に表明した、JOC=日本オリンピック委員会の山下会長。
東京大会を巡る汚職事件などをうけて、市民の理解や機運醸成が進んでいないことから、
34年大会以降の招致へ方針転換を余儀なくされました。
今月初め、山下会長から札幌市側に「断念」することを提案したといいます。
(秋元札幌市長)「市民から依然として多くの不安や懸念の声が寄せられ、招致に対する理解が十分広がったとは言い切れない状況。このような状況のもと招致を実現し、大会を成功に導くためには市民の理解と指示が不可欠であることから、スケジュールありきではなく、引き続き理解促進の取り組みを時間をかけて行うことが、オリンピックへの信頼回復と今後のオリンピックムーブメントのために必要」
招致断念の決定を受けて札幌市民は…
(市民)「(札幌を)盛り上げたいという部分では来てほしかった。期待していたので残念」
(市民)「東京オリンピックのことをみると歓迎しないかなというのが本音です」
30年以降の冬季大会にはすでに6つの国と地域が名乗りをあげています。
このうち、34年大会の有力候補とされているアメリカのソルトレークシティが、
30年大会の開催も可能とする考えを表明していて、招致レースの駆け引きがすでに始まっています。
あすから開かれるIOC=国際オリンピック委員会の理事会では、
30年と34年の開催地を同時に決めるかどうかも議論される見込みです。
専門家は今後の札幌への招致について、何よりも「民意」が重要だと指摘します。
(奈良女子大学 石坂友司教授)「30年34年に向かうにあたって、どういう形で進めるのか、進めるべきではないのか。住民投票が取りざたされているが、意思確認をとりながら進めないと、34年でも38年でも状況は変わらない」
30年の札幌開催を見据えていたアスリートは今回の決断について…
(道路建設ペリグリン 増原海夕選手)「オリンピックが行われることは日本全体が盛り上がるいい機会だったと思うので、それがなくなってしまうのは正直残念な気持ちがあるが、他の国でもオリンピックは行われるので、そこに向けて頑張っていければと思います」
(道路建設ペリグリン ラック陽選手)「アイスホッケーはマイナースポーツなので、札幌で出来たらもっと盛り上がるかなと思う。ぜひ札幌でやってほしいです」
信用と信頼が失われたままのオリンピック・パラリンピック招致。
札幌に再び聖火を灯すには、まだまだ高い壁を乗り越えなければなりません。