「解散命令」までにハードルも、旧統一教会「請求」決定、献金・勧誘活動はどうなる?【Nスタ解説】

旧統一教会への対応をめぐり、盛山文部科学大臣は教団の解散命令請求を決定したと明らかにしました。
「解散命令」までにハードルも
井上貴博キャスター:今後「司法がどう判断していくのか」ですが「解散命令請求へ」という所まで来ました。質問権の行使を文科省は、旧統一教会に対して7回行ってきました。
【質問権への回答】・1回目段ボール10箱程度・2回目段ボール4箱・3回目段ボール2箱・4回目封筒1通・5回目封筒1通・6回目宅配袋2個と封筒1通・7回目宅配袋1個と封筒1通
最初はダンボール10箱程度と量が多かったのですが、返送されるものはどんどん少なくなっていきました。「組織性」「継続性」「悪質性」を示す証拠を集めてきたことになります。
この中で解散命令請求に結びついたポイントは「継続性」と「悪質性」。これが長期間、信者に経済的な負担を強いていた。「解散命令請求は妥当」という判断に至りました。
所管する盛山正仁文科大臣は、解散命令請求に至った理由について「旧統一教会の行為は、信者の方々を不安や困惑に陥れ、その親族にも財産的・精神的犠牲を余儀なくさせ、生活の平穏を害し、宗教法人の目的を著しく逸脱している」と会見で話しました。
「解散命令」を過去のケースで紐解きます。裁判所が双方の主張を聞いた上で判断します。過去には最高裁まで争うケースもありました。
「オウム真理教」と「明覚寺」は命令確定まで、数か月~年単位かかっています。司法の場でしっかりと判断することになるので時間はかかります。
大きく違うのは、オウム真理教は“刑事事件”。一方で、旧統一教会は“民事訴訟”ということ。司法では、しっかりと感情的にならず判断していく必要があるので、年単位かかることになります。
TBS報道局社会部長岸慶太郎:前例が極めて少ないので、どのくらいの期間がかかるかは、正直わからないところです。年単位かかってもおかしくないと思っています。
オウム真理教に関しては、刑事裁判の中で犯罪性が明らかになっていました。今回の旧統一教会に関しては、文科省が自ら証拠集めをした形になります。オウム真理教などについては、捜査機関が強制力を持って証拠を集めていたのに対し、文科省が任意で証拠を集めたところに大きな違いがあると思います。
井上キャスター:「質問権を行使して文科省は証拠集めをした」という話がありました。それとは、また別にゼロから証拠集めを捜査機関が、これから行うということですか?
岸社会部長:捜査機関は行わないです。今回、文科省が集めた証拠に基づいて裁判所が判断することになります。宗教法人の解散命令は非常に重い判断なので、抑制的にすべきという意見も当然あります。その中で、今回の旧統一教会の献金などの霊感商法などの被害という実態が、どの程度あって、それが命令を課すレベルに達しているのかどうかがまず一つ。
さらに達しているかどうかを考える上では、文科省が集めた証拠を基に判断されるので、「証拠がきっちり集まっているか」の二つが判断のポイントになると思います。
「解散命令」なら…献金・勧誘は?
井上キャスター:判断するのに年単位かかるとも言われています。その後、司法の場でも確定した場合どうなっていくのでしょうか。
集会、献金、勧誘活動など、これまで通り宗教活動をすることはできます。決定的に変わるのは「宗教法人」では無くなります。宗教法人格が剥奪されるので、“税制の優遇”が無くなります。固定資産税など納税義務が出てくるということで、経済的なダメージが大きくなる可能性があります。
あとは「解散命令が出された団体」ということで、世間的なイメージも、かなりダメージがあるのではないかと言われています。
あとは、これをもって被害者救済をどうしていくのかです。
岸社会部長:法人格が無くなるので清算になります。解散命令が出れば資産というのは、被害者の方に分けられ、被害回復に繋がると思います。
今問題になっているのは時間です。解散命令が出るまで、年単位にかかるとして、その間に宗教法人の資産を「保全する」「差し押さえる」「動かさないようにする」のは、法律上できないことになっています。
本当に悪意をもって旧統一教会が、資産を今のうちに隠してしまうのを止めることは、非常に難しいです。そこに関しては政治の課題であって、新しい法制度を進める動きになっています。
井上キャスター:財産をバラバラにされてしまうと、被害者救済に本来は持っていくべきお金が無くなってしまうかもしれないということですね。
ホラン千秋キャスター:被害に遭われた方は、この大きな一歩を心待ちにしていたと思いますが、一歩を踏んでも、自分の財産や、救済されたい部分が保たれないところは、かなりもどかしさがありますよね。
田中ウルヴェ京 スポーツ心理学者(博士):一歩進んだのは事実です。なぜなら、実害だという証拠がしっかり集められたからです。例えば、被害があった感じた人がいて、実際にお金の額がわかった。
それは一歩ではあるけれども、実際にどのような補償ができるのかは、宗教団体側ではなく、司法はしっかりと根拠を集めなければいけないので、その時間に宗教法人がどうするかということが、私達には何もできないのが今回の問題ですよね。
政治の問題なのであれば、どのように解決できるのかを考えなきゃいけないと思います。
ホランキャスター:裁判所は文科省が集めた証拠に基づいて判断を行うという話がありましたが、「この部分が足りない」ということを追加で探すことはあるんですか。
岸社会部長:非公開ですが、この後に教団側からの反論とかあるので、その都度、裁判所が新たな証拠を求める可能性はあると思います。
井上キャスター:「反論」という話がありましたが、旧統一教会は、この世の中を“サタンの世界である”と敵視しているので、解散命令が請求されたとすると、より強硬に抗ってくることも考えられますよね。
岸社会部長:旧統一教会側が、命令が出されると思っているかどうかもわからないです。もしかしたら法律上、解散命令が出ないと教団側は考えている可能性もあるので、今、解散請求が出たから教団がどう動くかは、正直わからないところです。
井上キャスター:いずれにしても、被害者の救済をどうしていくのかですね。
田中ウルヴェ京博士:被害者の立場になれば、これまでも長い年月だったわけですから、宗教法人の方も根拠を出してほしいですね。
井上キャスター:被害者2世の方の人権をどう守っていくのかというところなのかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする