対抗馬出ず、OBから批判も 連合・芳野友子会長、真価問われる2期目

連合の芳野友子会長の再選が24日、事実上固まった。再選に向けた道のりと芳野氏に課せられた今後の課題とは。
「なぎの海のような静かな役薦だった」
役薦は役員推薦委員会の略称で、限られた連合幹部で構成された組織を指す。今回の経緯を、主要産業別労働組合(産別)の幹部はこう振り返った。
前回(2021年)は、ある有力候補が出身組織の反対などで断念すると役薦は迷走し、誰も手を挙げることなくギリギリで芳野氏に決まった。そうした経緯もあり、再選が通例とされることから、芳野氏に1期で降りてもらう選択肢は当初からなかった。
加えて有力な対抗馬も出てこなかった。連合内で最大規模の産別「UAゼンセン」会長で連合の会長代行の松浦昭彦氏は、役薦のヒアリングに「現職(会長代行)にとどまりたい」と答えたという。松浦氏は有力候補の一人と目されていたことから、連合関係者は「この発言で芳野氏再選の流れは決まったようなものだった」と明かす。
だが、芳野氏の2年間が組織内で評価されたかといえば、そうとばかりは言えない。役薦のヒアリングでは、芳野氏の自民党に接近しすぎる姿勢や、出身のJUKI労組の委員長を兼任していることへの批判が出た。
芳野氏は自民党への接近の批判に「対話を重視する私のやり方」と意に介さない。だが、連合の政治方針には政権交代可能な2大政党的体制を目指すとしており、「対話ではなく、自民へのすり寄り。連合の存在を否定するものだ」と連合OBは手厳しく批判する。この問題での批判は連合内に根強い。
かつて、連合の役薦を巡っては、各産別が激しい主導権争いを演じたものだ。静かすぎる役薦を見ていると、主立った産別はもう連合運動に興味がないのかとさえ思えてしまう。初の女性会長の誕生で注目を集め、発信力も増した2年間。今後2年は、行動で労働者の信頼を得ることができたのかが問われてくる。【東海林智】

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