実弾窃盗の犯人扱いで賠償命令 奈良県に、巡査長が提訴

奈良県警の20代男性巡査長が奈良西署の拳銃庫から実弾を盗んだ犯人だと疑われて取り調べを受け、うつ病を発症し、休職を余儀なくされたとして、所轄する県に慰謝料など約820万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、奈良地裁(寺本佳子裁判長)は31日、約290万円の賠償を命じた。
訴状などによると、県警は2022年1月、奈良西署の拳銃庫で保管していた実弾5発を「紛失した」と発表。直前に拳銃庫の点検をしていた男性が疑われ同2、3月、長時間の取り調べで「おまえがやったのは確定してんねんから」「おまえしかおらん」と自白を迫られた。男性はうつ病を発症し休職した。
県警は同7月、実弾はなくなっていなかったと公表。本来より5発少なく配分するミスをしていたのに帳簿の管理や点検が不十分でミスに気付かず、紛失したと誤認したという。当時の副署長ら3人を所属長訓戒などの処分にした。
男性は同8月に提訴し、同9月末まで休職、その後復職。県側は和解を求めたが、男性は応じなかった。県側は「一連の対応は大いに問題」とする一方、賠償額を争っていた。

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