アメフト部だけではなく…「日大を訴えます」ラクヒー元日本代表主将が“不当解雇”されていた

「問題を抱えているのはアメフト部だけではない。ラグビー部でも指導者をめぐってトラブルが……」
こう声を潜めるのは日大ラグビー部関係者だ。
◆ ◆ ◆
就任1年を目前に起きた“事件”
強烈なタックルとスクラムから「ヘラクレス軍団」の異名を誇った日本大学ラグビー部。2016年に関東リーグ戦1部に復帰、全国大学選手権ベスト8に入るなど力をつけてきた。
「28年に迎える創部100周年までに大学選手権で優勝することを目標に掲げています。その実現のために昨年3月、ヘッドコーチに招聘されたのが菊谷崇氏(43)です」(スポーツ紙記者)
菊谷氏は大学卒業後、トヨタ自動車に入社。11年のワールドカップでは日本代表主将を務めた。18年に現役を引退してからは指導者に転向している。
古豪復活を託された菊谷氏。しかし、就任1年を目前に“事件”が起きる。
「菊谷さんと彼をコーチに招いた中野克己監督の2人が突然、部から追い出されたのです」(前出・部関係者)
学生ファーストを理由に菊谷氏とヘッドコーチの解雇が決定
別の部関係者が話す。
「今年1月、一部の部員から監督とヘッドコーチの退任を求める嘆願書が平山聡司部長宛に送られたのです。そもそも中野監督はスタッフ陣と折り合いが悪く、この嘆願書もあるコーチが一部の部員を焚き付けて提出させたという噂もある。菊谷さんはそれに巻き込まれるかたちになった」
小誌が入手したその嘆願書にはこう記されている。
〈監督、ヘッドコーチファーストで進められ、選手ファーストでなく信頼ができません〉
嘆願書を受け取った平山部長は、学内の体育会系の部活動を統べる競技スポーツ部に報告。そこでは部長を中心にラグビー部で対応すべきであり、速やかに部員へのヒアリングを行うよう指示があったという。
「2月8日、菊谷さんは平山部長から突如、指導の一時停止をメールで宣告されたのです。本来、双方に聞き取りをした上で解決を目指すべきですが、菊谷さんには部長からのヒアリングは一度もなかった」(同前)
〈ヘッドコーチファースト〉は事実なのか。部員へのヒアリングの一環として平山部長が行ったアンケートでは、菊谷氏を「評価できない」と答えたのは17.8%にとどまった。
「平山部長自身も部員たちの考えに『浅深がある』としながらも、学生ファーストを理由に、菊谷さんたちを切ることにした」(同前)
日大は『解雇』ではないと回答
菊谷氏は代理人弁護士を立て、3月2日に林真理子理事長宛に通知書を送付。指導停止の解除などを求めたが、大学側は「契約はラグビー部と菊谷氏で結んだもの」「契約の当事者ではない」という理由で関与を拒否した。
「菊谷さんは日大の対応にも納得していません。また、チーム強化のため、2名のコーチを招く予定でした。彼らに支払われるはずの報酬の補償を求め、日大を相手に訴訟を起こすそうです」(同前)
菊谷氏を直撃すると解雇は事実と認めた。
――不当な解雇だった?
「はい。嘆願書の存在も聞かされず、いきなり指導を止めるよう告げられたのは間違いありません」
――今後は訴訟に?
「日大を訴えることになります」
日大はこう回答した。
「(中野氏と菊谷氏は)いずれも『解雇』ではありません。菊谷氏については、部員に対する指導方針の違いが生じ、最終的に部と菊谷氏との契約が合意解約されました。解約金も支払い済みです。(コーチが部員に嘆願書を書かせたという話は)確認できておりません」
ノーサイドのホイッスルが鳴るのはまだ先のようだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年8月31日)

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