ニュース裏表 安積明子 代表戦再選の国民・玉木雄一郎氏に重い課題 現場から遠いほど高く…投票結果に見る支持者の〝感覚〟と候補者の苦しい現状

国民民主党の代表選は2日に投開票が行われた。玉木雄一郎代表が、前原誠司代表代行を破り、再選を果たしたが、投票行動をみると、興味深い〝傾向〟も見て取れた。
合計111ポイントで争われた代表戦は、玉木氏が70%超の計80ポイントを獲得する一方、前原氏は31ポイントにとどまった。
内訳を見てみよう。国会議員と次期衆院選の立候補予定者による投票では、玉木氏が34ポイント、前原氏が21ポイントを獲得した。
一方、党員・サポーター票は玉木氏の1万3757票、前原氏は3306票を獲得した。そして、地方議員票では玉木氏の202票に対し、前原氏は44票を獲得した。
党員・サポーター票、地方議員票はそれぞれ、28ポイントが割り振られている。換算すると、玉木氏は46ポイントで、前原氏の10ポイントを引き離した。
投票手段は郵便とネットだが、ここで大きな差が出た。
郵便のサポーター票は、玉木氏の3476票に対し前原氏は1235票。一方、ネットのサポーター票では玉木氏が6939票を獲得し、1053票の前原氏に大差をつけた。党員票も同じ傾向で、玉木氏はネット票で前原氏を突き放したと分析できる。
一因として、玉木氏が現職代表である知名度に加え、ネットの活用法にたけている点が挙げられるかもしれない。
17・2万人が登録する自身のyoutubeチャンネル「たまきちゃんねる」では、幅広い政策解説を頻繁にアップする。時には国会周辺の散歩企画など、硬軟織り交ぜた配信をしている。
また、自身のX(旧Twitter)アカウントには34万人のフォロワーがいる。玉木氏は、Xの利用頻度が日常生活に支障をきたすほど多いさまを指すネットスラングの「ツイ廃」を自称するほどで、アピールに積極活用しているのだ。
ある同党関係者は、投票結果を見届け、「政治の『現場』から遠いほど、玉木代表の支持が多いということだ」と解説した。どういうことか。
「実際に選挙を戦わなければならない立場なら、単純に『政策が良いから』ということで支持しない」
実際に、13人の「公認予定者」のうち、玉木氏に票を入れたのは6人。7人の前原氏に及ばなかったという。
「現職なら玉木氏に賛同するだろうが、これから選挙を戦う候補者たちは、現時点で対戦相手となる与党にくみするわけにはいかない。勢いのある日本維新の会と選挙協力できるなら、そちらを選ぶのは当たり前だ」
なるほど、候補者は苦しい現状なのだ。
代表選で玉木氏は「日本維新の会や立憲民主党と選挙協力するなら『大きい方』に飲み込まれる」と述べ、〝独自路線〟の継続を主張した。
だが、小選挙区で、第3党以下の新人候補が当選するのは極めて難しいのが現実だ。
衆院は10月、4年の任期の折り返しを迎える。解散総選挙の現実味は高まるばかりだ。「政策実現」を果たすには、まず仲間を増やす必要があるが、大飛躍を望める具体策はあるのか。代表選で当選を果たしたものの、玉木氏の肩には、ずっしりと重い課題がのしかかる。 (政治ジャーナリスト)

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