【立岩陽一郎 漂流するメディア】
情報番組の出演者の発言はスポーツ紙を中心に記事化される。私が出ているフジテレビの「めざまし8」であれば、MCの谷原章介さんやコメンテーターの橋下徹さんなどは常にその発言が記事化され、それがネットで賛否をめぐって盛り上がる……炎上と形容される事態も当然ある。
筆者程度の知名度だとそこまではないが、たまに炎上する。10月3日の出演時がその「たまに」だったようだ。「ようだ」というのは、筆者自身はそうした騒ぎから距離を置きたいため、知人から教えてもらうからだ。
それは発言そのものではなく、当然のように発言を報じた新聞記事によって引き起こされたようだ。10月3日にスポーツ紙「デイリースポーツ」が配信した記事だ。「ジャニーズ会見『1社1問』ルールに『馬鹿げた話』立岩陽一郎氏『こんなことをするのは日本だけ』」とのタイトルの記事には以下のように書かれている。
《立岩氏は、まずは質問する記者側に「記者会見は、誤解がないように言うが、糾弾の場ではない。分からないことを明らかにする場。冷静に落ち着いて、相手を非難することなく」とコメント。
一方でジャニーズ側についても、1社1問というルールを設けたことに「馬鹿げた話」と一蹴し「なぜ1問にするかというと、皆さん公平に質問する機会といって、一見、公平に見えるが記者会見は公平にあらゆる人に質問する場を与えるのではなく、あらゆるわからない(疑問を)聞いてもらう場。ならば皆が質問することに重点を置くのではなく、1人の人が聞いて、答えが明確でなければさらに質問するということがなければ、成立しない」と指摘。
「次の会見の時にジャニーズの皆さんには考えて欲しい。(1社1問は)国際標準から大きく離れている。こんなことをするのは基本的に日本だけだと思った方がいい」と助言していた。》
上記の引用は新聞社の許可をとっていないが、そもそも筆者の発言とされるものを記事化することに筆者の許可を得ていないわけで、無断で引用することに問題はないだろう。そもそも、筆者の発言とされるものだからだ。発言ではない。発言とされるもの。
ちなみに、こうしたテレビでの発言内容を記事化したものを「コタツ記事」と呼ぶ。取材せずにコタツに入ったままで書けるからだ。
■ジャニーズが目指そうとしている国際標準から大きく乖離
その前に知人から聞いたどのような炎上だったのか、簡単に記しておく。大別すると2点になる。