岸田首相(自民党総裁)は13日の内閣改造で、党内6派閥ごとの閣僚の起用人数を、改造前からほぼ維持した。不公平感が出ないよう派閥均衡に配慮する狙いがあるとみられる。ただ、「主流派」以外の要望は必ずしも反映されておらず、不満も噴出している。
「うちは希望通り。満額回答だった」
茂木派(54人)を率いる茂木幹事長は、新しい布陣について周囲に満足そうに語った。同派は茂木氏と小渕優子選挙対策委員長で党四役の2ポストを占めたほか、閣僚での処遇を求めていた衆院議員2人を含む3人が入閣した。同派とともに主流派を形成する麻生派(55人)も、閣僚4人を確保し、人選もほぼ派閥の要望通りだった。
他の派閥の閣僚は安倍派(100人)4人、岸田派(45人)2人、二階派(41人)2人、森山派(8人)0人。改造前と比べ、岸田派が1人増えた以外は変化がなかった。首相としては、起用を減らした派閥が反発を強め、政権批判に回るような事態を避けたい思惑があったとみられる。
一方、閣僚数の上積みを求めていた最大派閥の安倍派幹部は「所属議員数を考えれば、麻生派と同じ4人ではバランスを欠く」と漏らす。また、「非主流派」の二階派幹部は、人事の調整過程で、首相側から閣僚起用を1人に減らす打診があったことを明かす。結果的には2人が入閣したが、うち1人は派閥が要望した議員とは異なり、この幹部は「屈辱だ」と怒りをあらわにした。
首相が率いる岸田派は第4派閥と党内基盤は弱い。首相は、党四役以外の党役員や副大臣・政務官人事などで各派閥の要望をくみ取りたい意向だが、「ポストの数は限られている」(首相周辺)のが実情だ。「非主流派」などの不満が収まらなければ、党内の不安定化につながる可能性もある。