自治体が隣町のトップを刑事告訴する、という異例の事態になりました。福岡県田川市の村上卓哉市長は13日、大任町の永原譲二町長を「強要未遂の疑い」で刑事告訴。さらに田川市議7人も同じ容疑で永原町長を刑事告発しました。
◆田川市議7人も刑事告発する展開に
RKB今林隆史「大任町長を告発するため、田川市議が福岡県警本部に入ります」
田川市の市議会議員7人は13日、大任町の永原譲二町長を強要未遂の疑いで福岡県警に刑事告発しました。
香月隆一田川市議「気に入らないことがあったら、強要脅迫するとか。そういった田川地区の間違った政治を変えていかなければいけない。それが今一番いいタイミングだと思う」
そして、田川市の村上卓哉市長も13日、永原町長を同じ強要未遂の疑いで刑事告訴しました。
◆大任町長は発言を否定
田川地区8市町村で構成するごみ処理施設組合で組合長を務める永原町長が6月、田川市の村上市長に対し、施設に関する情報公開請求にそのまま応じた場合、組合から出て行くように発言した、というのです。永原町長はこれまで「出て行けとは言っていない」と発言そのものを否定しています。
田川市議会で永原譲二・大任町長「『出て行け』と言っていますけど、私は一言も言っておりません」
RKBの取材に対しても永原町長は発言を強く否定しています。
RKB今林隆史「『嫌なら出て行って自分たちで建てなさい』という発言は、町長されてないんですか?」
永原譲二・大任町長「してません」
◆「出ていけばいい」音声データを市長が公開
しかし、村上市長が公開した音声データには永原町長の発言が収録されていました。
「これは出したら困る、信義を守れ。出したらもうあとは全てがもう俺たちとあんたがた協力せんから。全て。そんなことまで市長たる者がするならもう議会議決して出ていけばいい。嫌なら出て行って自分たちで建てなさい」
音声データには、田川市からの焼却灰の受け入れ拒否を臭わす永原町長の発言も記録されていました。ごみ処理施設の組合長を務めるなど田川地区で大きな影響力を持つ永原町長の言葉だけに、村上市長にとっては大きなプレッシャーとなり得ます。
◆「市民生活に直結する部分を盾に取られた」
村上卓哉・田川市長「田川市を預かる身としましては、市民生活に直結する部分を盾に取られたということにつながりますので、それは私としては十分に圧力と受け止めたということでございます」
田川市は、今回の刑事告訴について「近日中に村上市長が会見を開き説明する」としています。
◆「一日も早く司法の場で決着を」と大任町長
刑事告訴をどう受け止めるのか。大任町の永原町長は――。
永原譲二町長「副組合長(田川市長)が組合長(大任町長)を告訴する。非常に事業の推進に影響を及ぼすような大事な案件なので、これは一日も早く司法の場で決着をつけていただきたい」
これまでも物議を呼ぶ発言を繰り返してきた永原町長。圧力はあったのか? その発言について今後捜査機関が判断することになります。