外苑再開発は「不可逆的破壊」 イコモスが中止求め会見

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)は15日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見を行った。世界イコモス国際学術委員会・文化的景観委員長のエリザベス・ブラベック氏が明治神宮外苑(新宿区など)の再開発について「文化遺産の不可逆的な破壊だ」と述べ、即時中止を求めた。
オンラインで参加したブラベック氏は、イコモスが発出した文化財の保護に関する緊急要請「ヘリテージ・アラート」について、「国際的な遺産が失われかねないという最大限の懸念を示すものだ」と解説した。
ヘリテージ・アラートは「神宮外苑の再開発により3・4ヘクタールの公園と約3千本の文化的資産としての樹木が失われる」として今月7日に発出。三井不動産や明治神宮など4事業者に再開発事業の中止を、都には環境影響評価(アセスメント)の再審査や都市計画の見直しを求めた。法的拘束力はない。
再開発は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の建て替えや超高層ビル2棟の新築などを柱とする事業。計画では、敷地内の約1900本の樹木のうち約740本を伐採する一方で、新たに約840本を植えるため、再開発後は計約2千本に増えるとしている。
小池百合子都知事は15日の記者会見で、イコモス側の会見について、「かなり一方的な情報しか(イコモス側に)入っていないのではないかと思う」と述べた上で、「事業者も説明をより丹念にすべきだと改めて思った」と話した。

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