どうする手荷物――。秋の観光シーズンの本格化を前に、京都市交通局が市バスの混雑対策に注力している。大型荷物を持ち込まない手ぶらでの観光をアピールしようとマスコットキャラクターも駆使し、矢継ぎ早に対策を打ち出している。(岡田優香)
「世は混雑。市バスのお客様数が回復の兆しを見せる一方、再び混雑が問題に」
市交通局のホームページでは、マスコットキャラクター「太秦萌」がスーツケースを横に、よろい姿で立ち尽くすイラストが目に入ってくる。NHK大河ドラマ「どうする家康」を意識した字体をクリックすると、バス内の大型荷物持ち込みで市民の降車や車いす・ベビーカーの利用に深刻な影響を与えていることを伝える文書が登場。荷物を預けて楽しむ「手ぶら観光」を勧める。
目を引くイラストでマナーを高めようと、市職員が考えたもので、広報紙も作り、市バス約800台に貼って啓発。担当者は「大型荷物の持ち込み制限や有料化も検討したが、確認のために時間がかかり、人員配置の経費増加も見込まれる。工夫を重ねて呼びかけていきたい」とする。
市交通局は、キャラなどを生かして経営状況や事業概要を分かりやすく伝える「見える化」を進めてきたが、今回もX(旧ツイッター)の投稿に4万以上の表示回数がついた。
コロナ禍前のように、観光客が集中し、生活に支障が出る状態を防ぐため、対策は適宜打ち出す方針だ。
すでに観光客らの利用が9割を占める市バス1日券の販売を今月末で停止する方針を発表。ホームページではイラストを使い、今後の対策についても説明している。
今秋は市バスから地下鉄に無料で乗り継げるサービスを、東山方面や金閣寺方面に加え、銀閣寺や平安神宮方面から京都駅に向かう利用者にも拡充。
観光客向けに鉄道の駅と観光地を結ぶ臨時バス「楽洛ライン」も増便する。
市交通局の清水博之・企画総務課長は「市民、事業関係者、観光客が快適に過ごせるよう、繰り返しマナー向上や市の取り組みを伝えていきたい」としている。