秋本議員、メールで国会質問すりあわせか 前社長側と 洋上風力汚職

洋上風力発電を巡る汚職事件で、衆院議員、秋本真利容疑者(48)=受託収賄容疑で逮捕=が国会質問をする前に、贈賄容疑で前社長が捜査を受けている風力発電会社「日本風力開発」(東京都)側と質問内容をメールですりあわせていた疑いがあることが関係者への取材で判明した。秋本議員は、同社の影響を受ける洋上風力発電の業界団体ともやり取りしていたといい、東京地検特捜部はメールの記録を入手し、秋本議員を追及しているとみられる。
秋本議員は2019年2月~22年2月、同社の塚脇正幸前社長(64)から政府が進める洋上風力発電で同社が有利になる国会質問をするよう請託(依頼)を受け、19年3月~今年6月ごろ、計約6100万円の賄賂を受領したとして逮捕された。約6100万円は、馬主登録するための借入金や競走馬の購入代、馬主活動のための経費だったとされる。
秋本議員は請託を受けたとされる期間に衆院の予算委員会や環境委員会で洋上風力に関する質問を度々していた。関係者によると、事前に前社長や業界団体「日本風力発電協会」(東京都)とメールで連絡を取り合い、質問内容を確認し合っていた疑いがあるという。
秋本議員は国会で、青森県の陸奥湾の海域に過度な規制をかけない(質問時期19年2月)▽環境影響評価は事業者に代わって国が実施する(同20年2月)▽環境影響評価の手続きを短縮する(同21年2月)▽運転終了後の発電設備の撤去の在り方について国が見解を示す(同21年6月)▽公募基準を見直す(同22年2月)――ことを質問していた。
これらはいずれも日本風力開発側や同協会が秋本議員に要望していた内容だったという。約550の事業者などでつくる同協会は、日本風力開発の副会長が代表理事を務め、前社長も影響力を発揮できる立場にあった。特捜部は、前社長が業界団体ルートでも秋本議員に国会質問を働きかけていた疑いがあるとみている。
一方、秋本議員は特捜部の調べに、前社長や同協会に限らず、他の事業者とも日常的に情報を交換していたと反論。洋上風力発電に関する知識は自身で磨いたとし、「国会質問の内容は自分で考え、自身の政治的信条に基づいて質問した。馬主活動とは無関係」と容疑を否認しているという。【井口慎太郎、松尾知典、北村秀徳、岩本桜】

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