福岡市内の私立高2年の女子生徒(当時16歳)が「同級生から無視されてつらかった」などと記した遺書を残して自殺した問題で、学校は22日、自殺の状況や学校の対応などを記した報告書を福岡県に提出した。いじめの存在を否定し、自殺との因果関係も認めない内容となっている。
学校によると、生徒は5月中旬に自殺した。遺書には同級生からのいじめを示唆する記載が残されていた。
報告書は校長を中心に、女子生徒の自殺直後に行った教職員への聞き取りや同級生へのカウンセリング結果などをまとめたもの。学校は報告書を公表していないが、校長らによると、いじめの事実を否定した上で、自殺との因果関係も「見当たらなかった」などとし、自殺の「原因は別にある」と主張する内容という。
いじめによる自殺の疑いがあったケースについて、いじめ防止対策推進法は「重大事態」と定義しており、教育委員会や学校に調査組織の設置を義務づけている。ところが、学校側は当初、重大事態と認定せず、県にも報告していなかった。
学校側は県の指摘を受け、15日に重大事態と認定した。今後、県からの指導があれば、第三者による調査を実施する方針。
母親「信用できない」…第三者による再調査希望
自殺した女子生徒の母親(54)は22日、福岡市で初めて記者会見を開いた。「(娘が)自死するほど悩んでいるとは全く気がついていなかった。抱きしめて『ごめんね、つらかったね』と謝りたい」と悲痛な思いを明かした。一方で、いじめを認めない学校側に対しては「信用できない」と批判した。
母親によると、遺書の大半は無視をした生徒について記され、「つらかったことなどが書かれていた」とした。ところが、学校は遺書の内容を説明しないまま、生徒へのカウンセリングを実施して「いじめはなかった」と結論づけたとし、「いじめの調査には当たらない」と訴えた。
また、自殺後に生徒のカウンセリングを担当した臨床心理士と面会した際、「調査をしても加害者にとっていいことはない」「生きている人を守りたい」などと発言されたとし、「娘のことは全く無視されていて悲しい」と訴えた。
母親は今後について、第三者による再調査を希望し、「私は真実を知りたいだけ」と訴えた。