東京電力は5日、福島第1原発処理水の2回目の放出を開始した。処理水に含まれる放射性物質トリチウム濃度は1リットル当たり63~87ベクレルで、国が認可した計画の同1500ベクレルを大幅に下回った。海水で希釈し、濃度をさらに薄めた後、初回と同じ約7800トンを17日間程度かけて放出する。
2回目の放出後も原発周辺の海域で国や東電、福島県などが行っているモニタリング(監視)を継続し、放出の安全性や透明性を国内外に広く発信する。
東電によると、5日午前10時18分に処理水を送り出すポンプを起動、運転員らが流量などを確認した後、遠隔操作で海への放出が始まった。
初回放出は8月24日から9月11日まで行われ、7788トンを海に流した。設備や運用上のトラブルはなく、周辺の海水や魚類などからトリチウム濃度の異常値は確認されていない。
東電は今年度、約3万1200トンを4回に分けて海に流す計画で、トリチウムの放出総量は年間の上限に設定した22兆ベクレルを下回る約5兆ベクレルを見込む。
同原発にたまる処理水は9月28日現在、約134万トン。敷地内のタンク容量全体の98%に達している。