世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、盛山正仁文部科学相は12日、記者会見を開き、教団への解散命令請求を行うと発表した。同日開いた宗教法人審議会で請求について説明、全会一致で了承を得た上で決定した。13日にも請求申立書を東京地裁に送付する。
盛山氏は会見で、長年悪質な高額献金被害が続いたとして、「多くの人に悪影響を及ぼした」と強調した。質問権行使とは異なり、宗教法人法では解散命令請求について審議会への諮問を要件としていないが、丁寧なプロセスを踏むことで、地裁に調査を尽くし証拠をそろえて請求したことを強調する狙いがある。
昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、教団による献金被害が浮上。文化庁は昨年11月、質問権を初めて行使して調査に着手するとともに、同時並行で進めてきた被害者などへの聞き取りなどから、請求の要件となる違法行為の「組織性、悪質性、継続性」を満たしたと判断した。
文化庁によると、献金集めなどで正体を隠した勧誘や不安をあおる手法が全国的に共通。こうした行為は一部で、マニュアル化されていた。宗教団体の目的を著しく逸脱しているとも認定。被害は遅くとも昭和55年に始まり、近年も続いているとしている。
文化庁は質問権を計7回行使して資料提出を受けるとともに、170人を超える被害者らの聞き取りを実施。調査で確認した被害規模は約1550人で、損害賠償額や解決金などは総額約204億円に上る。
教団側は「違法行為の組織性、悪質性、継続性のいずれも認められず、解散命令を請求するような要件には当たらない」などと一貫して反論している。