【速報】『水俣病の救済漏れ』原告128人の訴え認められる 国などに計3.5億円賠償命令

大阪地裁の外で待つ原告らの前に、旗が掲げられました。そこには「勝訴」の文字。水俣病の「救済漏れ」をめぐる一連の裁判で、大阪地裁が初の司法判断です。 大阪府内に住む前田芳枝さん(74)。手のふるえや感覚障害などに長年苦しんできました。「『指をケガしているからペンが持てないんよ、だから悪いけど書いて』と、嘘を言って人に書いてもらう。つらかったですよ、嘘までついて。そう言わざるを得ない人生で今まで来たわけなんです。」 メチル水銀化合物に汚染された魚介類を食べた人々が被害を受けた水俣病。就職で大阪に出るまでは、鹿児島県阿久根市で生まれ育った前田さんは、9年前(2014年)に医療機関で水俣病と診断されました。 しかしその時はすでに、2009年に成立した「水俣病被害者救済特別措置法」(特措法)で設けられた救済策の申請期限(=2012年7月末)が過ぎていました。 前田さんのように、水俣病の症状があるのに特措法の救済を受けられなかった128人は、「熊本や鹿児島(=八代海一円)での居住歴や魚介類の摂取歴などから、水俣病に罹患しているのは明らか」などとして、大阪地裁に提訴していました。被告は国と熊本県、「チッソ」で、賠償請求額は1人あたり450万円です。 一方、国側は「原告らの立証では発症に至るほどのメチル水銀曝露があったと認められず、水俣病に罹患しているとは言えない」などとして、訴えを退けるよう求めていました。 27日午後の判決で大阪地裁は、まず原告らの症状などから、原告全員が水俣病に罹患していると認定しました。そのうえで、国や熊本県などが主張していた除斥期間の適用については、「起算点は原告らが水俣病と診断を受けた時点」だとして、原告らはいずれも請求権は消滅していないとしました。 128人の原告全員に1人当たり慰謝料など275万円、総額約3億5200万円の支払いを命じました(※6人はチッソのみが賠償責任を負う)画期的な判決を受け、言い渡し後には傍聴席からは拍手が起こりました。 同様の訴訟は、熊本地裁と東京地裁、新潟地裁でも起こされていますが、大阪地裁の判断により、さらに注目が集まることになります。

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