高校生が多用する福岡県大牟田市のJR鹿児島線銀水(ぎんすい)駅の男女共用のくみ取り式トイレを水洗式に改修するため、同市銀水校区(約4500世帯)の住民が、300万円を目標にしてネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。【降旗英峰】
銀水駅は市中心部の大牟田駅から北へ1駅目。校区には大牟田、誠修、三池の3高校があり、1日約1200人の利用者の多くが生徒。1926年完成の木造駅舎は趣があり、市内で撮影された映画「向田理髪店」(2022年)のロケもされた校区の顔。しかし、79年建設のトイレはコンクリート造り14・3平方メートルと手狭で、昔ながらのくみ取り式。水洗の洋式便器に慣れた現代の高校生は「ちょっと使えない。学校や家まで我慢する」と話す。
そこで銀水校区まちづくり協議会は17年に市、JR九州に改修を要望したが前進せず、協議会は3校に呼び掛けて「銀水SAIKO~実行委員会」を作り、自ら改修資金を作ることにした。「SAIKO」は「最高の駅に再興したい」と思いを込めた。SL人吉が駅を通る写真を絵はがきにして謝礼にする。
地元事業所などにも寄付を求め、合わせて1000万円の資金を作り、11月に市に寄付して改修を再要請する。実行委によると、JR九州は地元がトイレを改修することは了承しており、市は「地元が頑張るなら後押しする」との姿勢だ。
校区の高齢化率は35・9%。実行委員長の森本正人・校区まち協会長(75)は「生徒に校区に良い印象を持ってもらい、将来は校区を支えてほしい」と話す。
生徒は「僕らを思って行動してくれありがたい」「トイレの建物を奇抜にしたら古い駅舎と対照的で人気スポットになるのではないか」と喜び、注目している。インターネットで「銀水駅トイレ改修」などと検索すると、CFのページが出る。