《今日は福島県南相馬市の坂下海岸で地元の子どもたちとサーフィンをしました》
9月3日、自民党の小泉進次郎元環境相が福島県を訪れ、地元の子どもたちとともにサーフィンを楽しんだ(冒頭は小泉氏のインスタグラムより)。その狙い、理由は……。
「8月22日、日本政府は東京電力福島第一原発にたまる“処理水”の放出開始を決定。24日より放出が始まりました。中国政府は処理水を“核汚染水”と呼んで放出に反対。日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました」(政治担当記者)
その後、中国の日本人学校に石や卵が投げ込まれる事件なども発生。そんな“処理水は危険”という風評に対しての小泉流の応援が今回の福島県訪問だった。
SNSでは称賛の声が
小泉氏はサーフィンを楽しむ姿に加え、中国が輸入を停止している日本産の魚(福島県常磐沖で取れたヒラメ)を味わい、《#三陸常磐の海の幸》《#魚を食べよう》というハッシュタグをつけて投稿。安全性をアピールしている。
《パフォーマンスだと言われても構いません》
小泉氏はインスタグラムでそう言い切った。SNSでは彼の今回の行動に対して称賛の声が数多く上がっている。
《スーツ又は作業着を着て遠くから見ているだけの議員よりも、体を張ってアピールしているのは良い事だと思う》
《進次郎氏、サーフィンだけでここまで局面変えられるの天才過ぎるだろ!》
否定の声も承知の上
元総理大臣を父に持ち、“小泉ジュニア”として鳴り物入りで政界入り。女性人気も高かったが、近年彼の発言は“小泉構文”として揶揄される対象に。中身がなかったり、同じことを繰り返したり、当たり前のことをさも自分だけがたどり着けた答えかのように説明する小泉氏の姿に、“アホ”“頭が空っぽ”という評価をする人は少なくなかった。しかし、今回の行動で久しぶりに称賛を集めた。彼はアホなのか、天才なのか?
「実際の政治的な評価や実績は別として、SNSを含めたメディア発信はほかの政治家と比較して秀でていると思います。今回の行動は“福島の海を訪れて安全性をアピールする行動力がすごい”、“サーフィンという誰もが思いつかない発想”と評価する人がいる一方、小泉構文などから“アホがサーフィンしてる”と否定的な人もいる。小泉さんは肯定的な評価だけでなく、否定的な声も出ることをわかってやっていると思います」(ITジャーナリスト)
良いことも悪いこともすぐに広まってしまうSNS社会。
「処理水についていくら科学的な説明をしても民衆の耳目は悲しいことにサーフィン以上には集まらない。メディアの取り上げ方も同様。小泉氏のサーフィンは大してうまくないのでどこか間抜けな姿に見えました。肯定的な人には楽しい絵面に見えますし、アンチはよりバカにする。SNS社会は肯定と否定という“両輪”があるほうが、どちらか一方だけより拡散されやすい。そもそも何をやっても炎上もせず、話題にもならない議員なんて山ほどいるわけですから」(同・ITジャーナリスト)
小泉氏の好きな言葉は「意志あるところに道はある」。拡散を狙う意志のもとにメディア・SNSという道を使うのが誰よりも上手なのかもしれない。もちろん政治家としての評価はそれだけではいけないのだが。