神奈川県湯河原町が町条例で支給を定めた職員の時間外手当を支払わず、2018年度から20年度までの3年間で272人に計8200万円が未払いだったことが15日までに分かった。町は条例違反を認め、過去2年間にさかのぼって手当を支給するとしている。
町関係者によると、1990年代の行財政改革を名目に20年以上も時間外手当の不支給が常態化していた。関係者の一人は「職員をないがしろにし、組織として順法意識が低い」と批判している。
2020年11月の町議会で土屋由希子町議(当時)が未払いを問題提起し、町が調査を開始。今月14日の町総務文教・福祉常任委員会で調査結果を報告した。
タイムカードや時間外勤務等命令書など、記録が残る過去5年間のうち3年分を調べ、正規職員272人(退職者81人を含む)に計3万2千時間分の手当を支払っていないことが判明。正規職員の6割が手当を受けられず100万円以上未支給の職員も23人いた。
町条例と規則では勤務時間(午前8時半~午後5時15分)以外の業務に時間外手当を支給するよう定め、週休日などに勤務する場合は手当を支払う代わりに振り替え休日を取得する仕組み。平日の時間外について振り替え休日の定めはなかった。