下村博文氏、執行部外され不快感…安倍派が15人の集団指導体制を発足

自民党安倍派(清和政策研究会、100人)は31日の総会で、塩谷立会長代理が「座長」に就き、「常任幹事会」で重要事項を決める集団指導体制を発足させた。会長選びは先送りし、塩谷氏とともに会長代理を務めてきた下村博文・元政調会長を執行部から外すなど、火種を抱えた船出となった。9月の内閣改造・党役員人事の結果次第で、不満が噴出する懸念も残る。
「新体制に意見や批判があるかもしれない。受け止めながら、皆さんの踏み台として努力したい」
最大派閥の事実上のトップとなった塩谷氏は総会冒頭、こう理解を求めた。会長だった安倍晋三・元首相の死去から1年以上を経ており、新会長を求める声が根強いためだ。
総会では、新設の常任幹事会に入る15人(衆院9人、参院6人)も発表された。不定期で開き、初会合は9月上旬を見込む。塩谷氏のほか、松野官房長官、西村経済産業相、萩生田政調会長、高木毅国会対策委員長、世耕弘成参院幹事長の「5人衆」が名を連ねた。西村環境相や岡田地方創生相に加え、松島みどり・元法相や橋本聖子・元五輪相らもメンバーとなった。

塩谷氏は、選定基準に関して「基本的に閣僚経験者で総合的に判断した」と述べるにとどめた。文部科学相経験者の下村氏を巡っては、5人衆が「会長が必要と唱え、集団指導体制に反対したため資格はない」との認識を共有していた。
派に影響力を持ち、下村氏と折り合いが悪い森喜朗・元首相の意向も影響したと見る向きが派内には多い。下村氏は総会後、記者団に「常任幹事会は打ち合わせ機関だ」と評し、不快感をにじませた。
そもそも常任幹事会がどこまで機能するかも未知数だ。党幹部の一人は「人数が多すぎる。常任幹事会の幹事会が必要になる」と皮肉交じりに語った。
塩谷氏は早速、内閣改造・党役員人事で手腕を問われる。安倍派の閣僚は4人だが、第2派閥の麻生派(55人)と同数で、規模に見合っていないとの評価が支配的だ。塩谷氏は31日夕、首相官邸を訪れ、岸田首相に人事の要望を伝えた。自らに言い聞かせるように「問題はこれからだ。結束して政権を支える」とも語った。

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