「私は潔白です」 受託収賄容疑で逮捕の秋本議員、弁護人通じて主張

政府が進める洋上風力発電を巡り、風力発電会社「日本風力開発」(東京都)の塚脇正幸前社長(64)から約6100万円の賄賂を受領したとして、東京地検特捜部は7日、衆院議員の秋本真利容疑者(48)=比例南関東、自民党を離党=を受託収賄容疑で逮捕した。特捜部は、資金の趣旨は、洋上風力発電で同社が有利になるよう秋本議員が国会で質問した便宜に対する見返りと判断した。
政府が2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指して再生可能エネルギーの主力電源化に取り組む中、現職国会議員と再エネ事業者との「癒着」は汚職事件に発展した。
秋本議員は弁護人を通じ「国会質問をした謝礼として賄賂を受けた事実はない。私は潔白です」とのコメントを出した。前社長は贈賄容疑を認めているとされ、身柄を拘束せずに在宅で捜査が進められる見込み。
逮捕容疑は、前社長は19年2月~22年2月ごろ、洋上風力発電に関して日本風力開発が有利になるよう国会で質問してほしいと秋本議員に複数回にわたって請託(依頼)。秋本議員は衆院予算委員会などで質問した見返りに19年3月~今年6月ごろ、計約6100万円の賄賂を受領したとしている。秋本議員は17年から自民党の再エネ普及拡大議員連盟の事務局長だった。
秋本議員と前社長は馬主仲間で、約6100万円は馬主に関する授受だったとされる。特捜部は内訳について、秋本議員が日本中央競馬会に個人馬主として登録する際に保有資産の要件を満たせなかったことから19年3月ごろに前社長から借りた3000万円(無利息無担保)と、前社長側が秋本議員と共に設立した馬主組合などに支出した競走馬の経費約3100万円だったとしている。
秋本議員は19年2月の予算委員会で同社が参入を目指していた青森の海域について、防衛施設への影響を過度に重視して規制を強めないよう質問した。同社が秋田の2海域で公募に敗れた22年2月には、早期の事業開始が見込める業者に高い評価点を付けるよう公募基準の見直しを求めた。いずれも同社が望んでいた内容だったとされる。
秋本議員は12年に千葉9区から衆院に初当選し、4期目。安倍内閣で国土交通政務官、岸田内閣で外務政務官を務めた。【井口慎太郎、松尾知典、北村秀徳、岩本桜】

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