ビッグモーターと〝ズブズブ〟損保ジャパンに金融庁がメス 業務停止命令だけでは済まない可能性

金融庁は19日、中古車販売大手ビッグモーターの保険金不正請求事件に絡み、同社と損害保険ジャパンへの立ち入り検査を行った。両社の間には保険金不正請求における“癒着”が指摘されており、損保ジャパンが不正についてどれだけ把握していたかが焦点となる。
この問題をめぐっては、昨年6月に不正の可能性があるとして損保大手3社がビッグモーターへの事故車修理のあっせんを停止したなか、翌月に損保ジャパンの白川儀一前社長が取引再開を指示。これが明らかになると、今月8日に「大きな経営判断ミス」だったとして社長辞任を発表している。
損保ジャパンは2019年に代理店契約を結ぶビッグモーターに対応した特別チームを設置したとされている。損害査定を大幅に簡略化することで、ビッグモーターが保険金の不正請求で“やりたい放題”できる状況を生んでいたとみられる。
損保ジャパンについて、経済評論家の山本伸氏はこう話す。「損保ジャパンは2006年に保険金不払い事件で金融庁から業務改善命令を出されたが、今回はそれ以上の問題。損保ジャパンは売り上げにおける自動車保険の比率が高く、大規模代理店だったビッグモーターへの依存体質があったとみられる。業務停止命令の可能性もありそうだ」
自動車に関する自賠責保険や任意保険は、若者の車離れや人口減少で市場そのものが縮小している。一部では40年までに60%縮むという試算もあるほどだ。
また、山本氏は“癒着”の程度がどれだけ明らかになるかがカギとした上で、「保険契約者との民事訴訟のほかに、刑事告訴される可能性も捨てきれない。検察がどれくらい本腰を入れるかだが、業務停止命令だけでは済まないかもしれない」と指摘。大きな代償を払うことになるかもしれない。
損保ジャパンは立ち入り検査を受け、「検査に真摯に対応し、顧客の被害回復に努める」とコメントを出している。

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