文科相、旧統一教会の解散命令を請求 高額献金など被害額204億円

盛山正仁文部科学相は13日、金銭トラブルが問題化している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を東京地裁に請求した。宗教法人法に基づき解散命令を求める申立書に、約5000点の証拠資料を添えて提出、受理された。今後、地裁は非訟事件手続法により、解散命令の適否を非公開で審理する。
請求後の午前にあった閣議後記者会見で盛山氏は「今後は裁判所で審理されるが、文科省として万全の対応をとりたい」と述べた。
申立書の概要などによると、文科省は高額献金や霊感商法などの金銭トラブルで教団の損害賠償責任を認めた民事訴訟の判決が1980~2021年に32件あり、被害者169人の損害賠償額が約22億円に及ぶことを確認した。訴訟外の和解や示談を含めると被害者は約1550人、解決金などの総額で約204億円の損害を与えたとしている。
金銭トラブルを巡っては、教団本部から各地の教会に献金集めのノルマが課されたり、物品販売の売り上げが賞罰の対象だったりしたことから教団の組織的な関与を認定。宗教法人法が解散要件に定める「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」と「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」に該当すると判断した。
献金や霊感商法に関するマニュアルもあり、家族の不幸に乗じる手法も繰り返されていたとする。文科省側は12日の記者会見で「人々の心の平安を与えるべき宗教活動に逆行している」と指摘。「宗教法人格が財産獲得の受け皿として機能し、法人格を付与した趣旨に反したことは明白」と請求の理由を説明した。
一方、旧統一教会は12日、解散請求について「偏った情報に基づいて、日本政府がこのような重大な決断を下したことは痛恨の極み。日本の憲政史に残る汚点となる。今後は裁判において、私たちの法的な主張を行っていく」とする声明を発表した。
今後、東京地裁が決める解散命令の可否について、文科省、教団に不服があれば、最高裁まで争うことができる。解散命令が確定した場合、教団は法人格を失って税制優遇が受けられなくなり、礼拝施設の維持などでダメージになる。任意団体としての活動はできる。【深津誠、朝比奈由佳】

シェアする

フォローする