東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=に賄賂を渡したとして、KADOKAWA元会長の角川歴彦被告(80)らと共に贈賄罪に問われた元専務芳原世幸被告(65)の判決が10日、東京地裁であった。中尾佳久裁判長は「公正な運営への信頼を害し、大会に汚点を残した」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。
事件では計15人が起訴され、これまでに10人が執行猶予付きの有罪判決を受け確定した。
中尾裁判長は判決で、「違法行為を抑止すべく部下に指示したり上司に進言したりする立場だったのに、会社の利益や角川被告の意向を優先させ、高橋被告の要求に応じた」と指摘。一方で、起訴内容を認め、謝罪や反省の気持ちを述べるなどしたとして、執行猶予が相当と判断した。
言い渡し後、中尾裁判長が「大会の評価に大きな影響を与えてしまったことを忘れず、出版業界での経験を生かして人生を歩んでほしい」と語りかけると、芳原被告は「はい」と返事をし、深く頭を下げた。
判決によると、芳原被告は角川被告らと共謀し、高橋被告にスポンサー選定や協賛金額の決定で便宜を依頼。2019年9月~21年1月、高橋被告側に計約6900万円を提供した。
[時事通信社]