東京電力福島第1原発にたまった処理水の海洋放出に伴う水産業への影響について、宮城県石巻市の斎藤正美市長は1日、地元の市場関係者などと意見交換した。「風評被害は漁業者にとどまらず流通、加工業者にも影響が及ぶ」として、国の幅広い支援を求める声が上がった。
石巻の水産関係者の多くは東日本大震災後の復旧工事や機械購入などで補助金を受け、今も返済が重くのしかかる。新型コロナウイルス禍による消費低迷の影響に加え、処理水の海洋放出で二重、三重の打撃を受けかねないとの懸念が強い。
石巻市魚町の石巻魚市場であった意見交換で、石巻魚市場買受人協同組合の布施三郎理事長は風評被害による倒産を懸念し、「(補助金)返済の方法の見直しを中央に働きかけてもらいたい」と要望した。また三浦政洋副理事長は「漁業者には補償はあるが、流通、加工を担う我々も車の両輪。健全な営業ができる政策を国にお願いしたい」と求めた。
この日、石巻市にある県漁業協同組合の寺沢春彦組合長とも面談した斎藤市長は「皆さんの思いがかなえられるよう関係機関に訴えていく」と述べ、水産庁や経済産業省、復興庁に助成を求める考えを示した。【百武信幸】