「暴力してないよ! 暴力だけはマジでしてないからね。暴力とか殴ったり本当にしてないからこれだけは言うよ!」
送検時に男はブルーシートから顔をのぞかせ、報道陣へ必死に“潔白”を主張した。
宮崎県警は9月6日、30代の知人女性に性的暴行をくわえ、怪我をさせたとして「スーパークレイジー君」の名で知られる現役宮崎市議、西本誠容疑者(37)を不同意性交等致傷容疑で逮捕した。西本容疑者は3日未明、30代の女性の腕を引っ張りラブホテルに連れ込み、性的暴行を加え、女性に全身打撲など約1週間のけがを負わせた疑いがもたれている。
「真面目にやっているように見えたけど…」
社会部記者が語る。
「現役の宮崎市議が逮捕されるのは記録が残る範囲で初めてで、逮捕の報に地元では衝撃が走りました。少年院で5年間を過ごした過去を持ち、政治家としては特攻服に金髪の出で立ちはぶっ飛んでいるものの、実は議会活動は真面目に取り組んでいた。22年には高卒認定資格を取り、日大通信の法学部に入学。落選が続いても出馬し続けるなど、政治に情熱を持っていたのは確かでしょう。実際、市の前本尚登議長も『議会活動も活発で真面目な印象だったので非常に驚いている』と話しています」
見た目と中身のギャップが功を奏したのか、今年4月の選挙では候補者61人中2位の得票数で当選を果たすなど、市民の期待値は高かった。
だが、4月の選挙戦では、他の候補者との間で摩擦が生じることもあったようだ。地元政界関係者が話す。
「選挙戦でお店回りをした時、『下っ端はいいから店長呼んで来いよ!』と言い、店員を激怒させたと聞きました。他にも街頭演説の際、普通はその場で先に演説している候補者がいたら譲るもんですが、数人でドカドカと入ってきて占拠したり、他の候補者が朝に有権者に手振ってるところにバトルモード全開で乗り込んできたり……。悪気があるのかはわからないけど、やっぱり『俺は有名人なんだ!』って雰囲気がすごい。よくキャバ嬢を連れて繁華街を歩く姿も目撃しますよ」
被害者女性はクレイジー君の妻が働くキャバクラの同僚だった
今回の事件の被害女性とは一体どのような関係だったのか。前述の社会部記者が続ける。
「実は、被害女性A子さんは、クレイジー君の妻が働くキャバクラの同僚でした。事件当日、23時半ごろから約1時間半、そのキャバクラでA子さんと妻とクレイジー君で飲んでいたようです。クレイジー君とA子さんが店で会ったのは、その日が初めてでした。その後、妻は他の客もいたことなどから店に残って、クレイジー君とA子さん2人でアフターにいくことになったようです。2人は居酒屋とシーシャバーを挟んだ後、ホテルに行って今回の事件が起きました」
取材班はホテルに向かう直前まで2人が酒を飲んでいたというシーシャバーの男性オーナーから話を聞くことができた。このオーナーによると、2人はあまり酒に酔った様子はなく、午前2時から約1時間半滞在。他の客も交えて酒を飲み、楽しそうに見えたという。
「別々ではありますが、2人ともウチの店に来てくれたことはあり、顔見知りでした。入ってきた時から仲がよさそうで、2人がけのソファー席で横並びに座っていました。本当にベロベロになるとクレイジー君は寝ちゃうんですが、その日は2人とも意識はしっかりしていました。店でも3%のチューハイを2人は1缶ずつ飲み、あとはクレイジー君がハイボールに少し口をつけたぐらいです」
ただ入店から20分ほど経つと、2人が「イチャつき始めるのがわかった」という。
「A子さんが何度もクレイジー君の膝の上に座っていたり、2人が隣に座ってフレンチキスをするのを3~4回は見ましたね。その後、私ともう一人の女性のお客さんと4人で飲んだのですが、A子さんは『この人は有名人だから』なんて言って楽しそうで。A子さんが嫌がってる感じはなかったです。他にも当時2人スタッフがいましたけど、ニュースになっていることを伝えたら『え?』と驚いてました。遅い時間でしたがA子さんも帰りたい様子でもなく、『もう一軒いくか!』って雰囲気で帰っていきました」
クレイジー君は「暴力をふるっていない」と供述
そして「事件」は起きるのだが、店を出た後の行動については、西本容疑者と被害女性とで大きな食い違いがあるという。
前出の社会部記者が続ける。
「クレイジー君の被疑事実は、腕を引っ張るという暴行を加えてA子さんをホテルに連れ込み、午前3時35分から4時までの25分の間、同意なく、A子さんをベッドに押し倒して覆いかぶさり、唇や耳、首元にキスをしたり舐め回した。さらに服のうえから胸部や陰部を手で触った後、A子さんに抵抗され、逃げられたというものです。この際に部屋で受けた暴行で、A子さんは加療約7日間の全身打撲を負ったと主張しています」
一方、西本容疑者と接見した加藤博太郎弁護士は、こう話す。
「クレイジー君は、『ホテルの前で行く行かないというやり取りが30秒ほどあったが、暴力をしたり強引にしたりはしていない』『部屋で暴力をふるっていない。性交渉もしていないし、服を脱がしてもいない。被害者はフロントに今から帰りますと連絡して帰宅した』と話しています。また、怪我についてはA子さんが事件翌日、クレイジー君の妻に電話した際、『ホテルから出た後に転んだ』と説明していたと主張しています」
一体真実はどこにあるのか――。記者は9月8日夜、クレイジー君の妻にも電話で話を聞いた。
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「週刊文春」では、今回の事件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。
文春リークス: https://bunshun.jp/list/leaks
〈 《スーパークレイジー君逮捕》「は!? ヤッたの?」被害女性がクレイジー君の妻に語った事件の夜にラブホで起きたこと”【独占取材・妻の告白】 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)