東京都の小池百合子知事は15日の定例会見で、神宮外苑再開発をめぐり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス、本部パリ)の専門家らが日本記者クラブで同日に開いた記者会見で、再開発の即時中止と内容の見直しを求めた内容に関して問われ「かなり一方的な情報しか入っていないのではないか」と反論した。「事業者の方でも、説明をより丹念にすべきとあらためて思った」とも述べた。
その上で、神宮外苑と内苑の関係性に触れた上で「外苑と内苑の護持(ごじ)を進めると事業者の明治神宮が言っている。内苑の森を守るためにどうするかを、外苑が担っている」「明治神宮の内苑を守り、外苑をスポーツなどで楽しんでいただく施設に変えていきたいというのが、今回の4事業者の考えだ」などと訴えた。
イコモスの担当者は15日の会見で、再開発事業について「文化遺産の不可逆的な破壊だ。開かれた空間が失われ、遺産である樹木が失われることは受け入れられない」と強い言葉で指摘。会見に先立つ今月7日には、再開発で今後進む大量の樹木伐採などを阻止するとして「ヘリテージ・アラート」を発令し、政府や東京都、事業者らに送付。来月10日までの回答を求めている。一方で、都は12日に三井不動産など事業者側に対し、今年1月に公示された環境影響評価書に示された既存樹木の保全などに関する検討結果がまだ示されていないとして、今後予定される新たな樹木伐採の前までに、具体的な保全策を示すよう文書で要請した。
小池氏は事業者への要請が、結果的にイコモスの発令後のタイミングになった理由を問われ「去年5月以来、樹木の保全などについてはずっと要請している。事業者からは今年1月、環境影響評価書で約束した既存樹木の保全の検討結果を出しますということだったがまだ示されていない。その中で、樹木の伐採の許可手続きは進んでいるということで要請を行った」「具体的な見直し案を速やかに検討し、お示しいただきたい」と主張。「イコモスの話とは関係ない」と訴えた。