全国高校サッカーの宿泊所で全裸土下座撮影 “公立の雄”熊本・大津高で応援の1年生生徒にいじめ

サッカー強豪校として知られる熊本県立大津高(大津町)で昨年1月、1年生だったサッカー部員の男子生徒が全裸で土下座をさせられ、その様子を撮影されるいじめを受けたとして、県教育委員会は3日、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定したと明らかにした。高校は今年7月に認識してから1か月以上、県教委に報告していなかった。県教委は第三者委員会を設置し、詳しく調べる。
いじめは、大津高が出場中だった第100回全国高校選手権の応援で訪れていた宿泊所で起きた。同大会では決勝に進み、青森山田高に敗れ準優勝だった。
県教委によると、男子生徒は7月、担任に「先輩にあだ名を付けたと疑われ、謝罪を強要された。全裸で土下座し、写真に撮られた」などと相談し、高校が聞き取りを進めていた。
9月、男子生徒の保護者から相談を受け、県教委は事態を把握。高校はそれまで報告しておらず、県教委は「行為は重大で、報告すべきだった」とした。
同高サッカー部は、1972年創部。元日本代表FW巻誠一郎、カタールW杯出場の日本代表DF谷口彰悟(カタール・アルラヤン)ら多くのJリーガーや日本代表を輩出している。県立高校ながら、全国大会の常連で、“公立の雄”と称されることもある。
男子生徒は取材に応じ「学校側の遅い対応には腹が立った。いじめに遭うのは自分が最後であってほしい」と述べた。報復を恐れ、先輩の卒業まで言い出せなかったとしている。
西野俊一郎副校長は「正確な事実確認に時間がかかった。隠蔽(いんぺい)の意図は全くない。被害を受けた生徒には多大なる苦労と迷惑をかけ、申し訳ない」と話した。この日、保護者会を開き、経緯を伝えた。本年度の全国高校選手権県大会には出場する方針。
◆大津(おおづ)高校 1922年創立の県立校。所在地は熊本県菊池郡大津町。サッカー部の創部は72年で、部員数は約220人。全国総体23回出場、全国選手権19回出場。主な成績は14年度全国総体準優勝、21年度全国選手権準優勝、22年度同ベスト4など。OBは巻、谷口のほか元日本代表GK土肥洋一、同DF植田直通(鹿島)、同DF車屋紳太郎(川崎)ら。平岡和徳総監督、山城朋大監督指揮の下、高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグ西地区に所属する。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする