「病気などを理由に雲隠れ」「閉鎖的な記者会見」「メディアをけん制」──。第2次安倍政権以降に目立ってきた自民党国会議員の不祥事をめぐる対応とソックリになってきた。ジャニー喜多川氏(2019年死去)の性加害問題をめぐるジャニーズ事務所のことだ。
「あの場所に出てこないなんていうのは、ずるいです。ずるいねん。這ってでも出て、『あなたは引っ込んでおいてください』って言われるまでヘロヘロになるべきやったと私は思うな」
8日に放送された「上沼・高田のクギズケ!」(読売テレビ)では、MCの上沼恵美子(68)が同事務所の藤島ジュリー景子氏(57)について持論を展開。上沼は、ジュリー氏がパニック障害を理由に2日の会見を欠席したことに対し、「記者から突っ込まれたら嫌やなって思って、(会見に)出えへんかったんちゃうかって私なんかは思いました」とコメントしていたのだが、不祥事が発覚すると突然、病気を理由に公の場から姿を消すのは、自民党国会議員の常套手段だ。
■「病気などを理由に雲隠れ」「閉鎖的な記者会見」「メディアをけん制」
2016年1月に週刊文春が報じた甘利明・経済財政担当大臣(当時=73)とUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)をめぐる「口利き疑惑」では、甘利氏は大臣室などで関係業者から怪しいカネを受け取っていたことを認めつつも、その後、「睡眠障害」を理由に雲隠れ。2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、懲役1年4カ月・執行猶予5年の有罪判決を受けた河井案里元参院議員(50)も、事件が発覚した直後、「適応障害」を理由に国会を欠席し続けた。
ほかにも公選法違反疑惑やパパ活疑惑などが報じられたにもかかわらず、病気と称して記者会見などを開かず、所在不明になる自民党国会議員は枚挙に暇がない。
会見で友好的な記者しか指名しないという姿勢も同じだ。ジャニーズ会見では「NG記者リスト」の存在が発覚したが、首相会見では雑誌記者やフリーランスはほぼ「NG扱い」。厳しく追及する記者に対して、周囲の“仲良し記者”から「ルールを守れ」などとヤジが飛ぶ様子もそっくりだ。
そして極め付きはメディアに対するけん制だろう。ジャニーズ事務所は9日に公式サイトで、「故ジャニー喜多川による性加害に関する一部報道と弊社からのお願いについて」と題した声明を公表。メディア報道の中に“虚偽告発”の可能性があるとして慎重さを求めたわけだが、これも自民党政権の動きを彷彿とさせる。
自民党は2014年11月、在京各テレビ局に対し、総裁特別補佐の萩生田光一筆頭副幹事長(当時=60)と福井照同党報道局長(当時=69)の連名で「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した文書を送付。今回のジャニーズ文書と同じ「お願い」とあったものの、報道に対する露骨な政治介入として批判の声が出ていた。
■巨大権力をバックにメディアを「恫喝」するのが自民党
3月の国会質疑でも放送番組の政治的公平を定めた放送法の解釈をめぐり、当時の安倍官邸が「介入」していた疑惑が浮上したが、巨大権力をバックにメディアを「恫喝」するのが自民党だ。
まさかジャニーズ事務所は自民党の「誤った危機管理対応」をマネしているのでは……。