盛山文部科学相は13日午前、宗教法人法に基づき、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を東京地裁に請求した。地裁は申し立てを受理した。民法上の不法行為を理由とした解散命令請求は初めてで、高額献金問題などに端を発した解散命令の可否は司法の場で判断される。
文部科学省は、申立書とともに、これまでの調査で集めた資料や被害者の証言などの証拠資料約5000点も提出した。
盛山氏は、12日に開いた宗教法人審議会(文科相の諮問機関)による「解散命令請求が相当」との全会一致の意見を踏まえ、請求することを決めた。教団からの報告や元信者らの証言などを精査した結果、教団の活動に法令違反があり、宗教法人法に基づく解散命令の要件に該当すると判断した。盛山氏は請求後の記者会見で、「(東京地裁での審理に)万全の対応をとっていきたい」と語った。
今後は地裁が非公開で審理し、今回の請求を相当だと認めれば、解散命令を出す。地裁の判断に不服がある場合には高裁に即時抗告ができる。高裁の決定に憲法違反などがあると主張すれば、最高裁に特別抗告を申し立てることも可能だ。解散命令が確定すると、任意団体としての活動は継続できるが、宗教法人格が 剥奪 され、税制上の優遇措置は受けられなくなる。
宗教法人法81条は、宗教法人に「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合などに、裁判所が解散を命令できると定めている。政府は「組織性、悪質性、継続性」のある民法上の不法行為が確認されれば、解散命令の要件を満たすとの見解を示している。
過去の法令違反を理由にした解散命令は、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教など2件で、いずれも幹部が有罪判決を受けている。旧統一教会の幹部は刑事責任を問われたことはなく、司法の判断が焦点となる。オウム真理教のケースでは、請求から地裁による解散命令まで約4か月かかった。