22年参院選1票の格差は「合憲」 3回連続 最高裁が上告棄却

「1票の格差」が最大3・03倍だった2022年7月の参院選は投票価値の平等を保障した憲法に反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は18日、「合憲」との統一判断を示し、弁護士グループ側の上告を棄却した。合憲判断は16、19年選挙に続き3回連続。戸倉裁判長は「合区の維持で格差は3倍程度で推移し、有意な拡大傾向にあるとは言えない」と述べた。
裁判官15人のうち12人が合憲とし、うち11人が多数意見を形成した。三浦守、尾島明両裁判官は「違憲状態」とする意見、宇賀克也裁判官は「違憲で、将来的に選挙は無効」とする反対意見を述べた。
参院選の「1票の格差」を巡っては、最高裁が10年(最大格差5・00倍)と13年(同4・77倍)の選挙を違憲状態としたことで、16年選挙から「鳥取・島根」「徳島・高知」をそれぞれ一つの選挙区とする合区が導入された。格差は16年が3・08倍、19年は3・00倍と大幅に縮小したが、22年は是正策が講じられずに0・03ポイント拡大。こうした国会の姿勢をどう評価するかが焦点だった。
大法廷は合区の導入後に、合区対象の4県で投票率の低下が続いていることを挙げ、「有権者は都道府県ごとに国会議員を選出する考えがなお強いことがうかがわれる。慎重に検討すべき課題だ」と指摘した。国会が更なる格差是正を進めるには国民の理解を得るための「一定の時間」が必要で、国会が具体的な方策を新たに講じなかったことを考慮しても投票価値が著しい不平等状態にあったとは言えないと結論付けた。
ただ、格差の是正は喫緊の課題とも言及し、選挙制度の抜本的見直しも含めて国会に立法措置を取るよう求めた。
1票の格差訴訟は①投票価値が著しく不平等な状態にある②是正に必要な期間を経過した――の2要素を満たすと違憲となる判断枠組みが確立している。①が認められなければ合憲、①を満たしても②が認められなければ違憲状態となる。【遠藤浩二】

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