今年7月、東京・足立区の寺で練炭を燃やし、住職を一酸化炭素中毒死させたとして、石材店社長の男ら2人が逮捕されました。2人と住職が霊園の対象宗派を巡り対立していたことが捜査関係者への取材でわかりました。
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事件があったのは、今年7月。警視庁によると、寺の住職、大谷忍昌さんは寺の納骨堂で意識を失いました。その納骨堂があるのが、墓石の代わりに樹木を墓標とする、いわゆる樹木葬を行っていた前方後円墳型の墓地の地下です。納骨堂は2つあり、現場となったのは、南側の納骨堂です。
はしごを使って下りると、縦横およそ4メートル、高さ3メートルほどの空間に、多くの骨つぼが納められています。この狭い空間に置かれていたというのが、28個もの練炭です。「塔婆」という、本来、墓のそばに建てる板を床に置き、その上に練炭が置かれていたといいます。
当時、納骨堂を訪れた大谷さんは練炭に気づき、片付けようとしたところ、一酸化炭素中毒で意識を失ったということです。
警視庁は、事件の可能性があるとみて捜査を開始しました。発生からおよそ1か月後には、暗闇の中、ロープのようなものを使って捜査する様子も見られました。
記者(8月)
「捜査員でしょうか、光を樹木葬のあたりにあてている様子が確認できます」
そして7日、事態は大きく動きました。
記者(千葉・鎌ケ谷市、7日)
「警視庁の捜査員らが家宅捜索に入ります」
捜査員が訪れたのは千葉県鎌ケ谷市の一軒家。
さらにほぼ同じ頃、東京・練馬区にある一軒家でも…
記者(東京・練馬区、7日)
「家の中に捜査員が入っていきます」
警視庁は、2つの家で家宅捜索を行いました。そして、石材店の社長、斎藤竜太容疑者(50)と、同じ石材店の役員を務める青木淳子容疑者(63)が逮捕されました。大谷さんを殺害した疑いがもたれています。
日本テレビのカメラは、9月に斎藤容疑者の逮捕前の姿を捉えていました。
記者
「斎藤容疑者が家から出てきました。車に乗ってどこかに出掛けていきます」
防犯カメラの映像などから、事件当日も車に乗って現場に向かったとみられています。
2人が勤める石材店は、大谷さんが住職を務める源証寺と業務提携していましたが、警視庁は、大谷さんと2人との間に仕事上のトラブルがあった可能性があるとみています。
そのトラブルのきっかけになったとみられるのが、寺の向かい側にある霊園です。土地は寺が保有していて、運営は斎藤容疑者らの石材店が行っていましたが、この霊園の対象宗派を巡り対立していたことが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。
斎藤容疑者らは宗教や宗派を問わず対象としたかった一方で、大谷さんは仏教徒に限定したかったといいます。
大谷さんから、「寺で葬儀をあげたり戒名をつけたりしないと駐車場を使わせない」などと言われたという斎藤容疑者。青木容疑者は「出入り禁止」になっていたといいます。
警視庁の調べに対し、2人は容疑を否認しているということです。