《パパ活女子のカリスマ逮捕》「おぢには“病み営業”」りりちゃん(25)が作成したパパから大金を騙し取る魔法マニュアル”のすべて「もう闇金いこうかな…」

〈Q魔法の言葉とは? お客さんに「お金をもらうための言葉」です。たとえば家賃滞納、借金など「お金をもらう理由」を上手に伝えることも魔法の言葉のテクニックの1つです〉
パパ活女子たちのバイブルには、そんな明け透けな言葉が並んでいた。
詐欺ほう助で逮捕された“パパ活女子”界の有名人
8月23日、恋愛感情を利用して現金をだまし取る手口を記載したマニュアルを販売したなどとして、愛知県警は自称風俗店店員・渡辺真衣容疑者(25)を詐欺ほう助の疑いで逮捕した。社会部記者が解説する。
「渡辺容疑者は昨年6月7日ごろ、20歳の女が男性から現金をだまし取る意図があったことを知りながら、2万8000円でマニュアルを販売しています。さらに今年の2月にはLINEなどの通話アプリを通じ、女に好意を寄せた男性2人から計1065万円をだまし取る詐欺行為を手助けした疑いがあります。警察は渡辺容疑者自身も同様の手口で複数の男性から金銭をだまし取っていたとみて捜査を続けています」
SNS上で「りりちゃん」として活動していた渡辺容疑者は、『りりちゃん魔法完全攻略マニュアル』と称した“パパ活”の手ほどきをする指南書を売りさばき、パパ活女子界隈を代表するカリスマにのし上がった。男性に金銭を貢がせる「頂き女子」という流行語の代名詞でもあった。
そんな容疑者がものした『魔法完全攻略マニュアル』とは一体どのようなものなのか。小誌が入手した現物には、あまりに露骨な詐欺的行為の手口が並んでいた。たとえば「目次」にはこんな言葉が躍る。
〈りりちゃん完璧色恋講座~ガチ恋こそが高額GETの道~〉
〈りりちゃん病み営指導~「僕が助ける!」を言わせるための詳しい流れ~〉
マニュアルは1冊1万円、追加を払えば個人指導
男性の下心につけこむメソッドを盛り込んだマニュアルを1冊1万円で販売し、さらに追加で1万円支払えばLINEや通話で「頂き女子」の奥義を個別に指導する――渡辺容疑者の錬金術はいたってシンプルだ。実際に購入したことのある20代女性のA子さんが話す。
「りりちゃんのことは、X(旧Twitter)で知りました。最初は自分のことを“裏引き女子”と呼んでいましたが、2020年に“頂き女子”に改名。その時期からマニュアル販売をするようになりました。ターゲットである男性を『おぢ(おじさん)』と呼び、noteなどで購入できるマニュアルには、どうやっておぢに恋をさせるか、肉体関係を持たないまま、いかにお金をだまし取るかの手口が45ページにわたって書かれていました」
A子さんが購入したのは『魔法完全攻略マニュアル』。この他にも『頂き女子の参考書~お金を頂くための設定と極秘会話法~』『みんなを稼がせるマニュアル』の2冊があり、3冊セットで購入すると割引されるというシステムもあったという。A子さんが続ける。
「私が購入したマニュアルは、ソープ嬢として働くりりちゃんがホストにもっと貢ぎたいからという理由で、自分の客全員に“魔法”をかけるという話から始まります。男性を惚れさせた後に、悪い家庭環境で育ったかわいそうな子を演じ、借金の支払いが迫っていると病んでいるフリをする“病み営業”を行えば、300万円は手に入るという内容でした」
〈*LINEをGETした後は「相手の返信スピード」をみます 魔法をかける人は返信が早い人を優先します!*「お店次いつこれる?」など営業LINEはNG!〉
〈「はあ・・・どうしよう」「どうしたらいいんだろ・・・」「つらいなあ・・・」相手に「どうしたの?」と聞いてもらえるように病みましょう!〉
〈客に自分から「助けるよ(お金出すよお)」と言わせるように誘導します「こんなことになってどうしたらいいんだろう・・・」「もうしにたいな、どうしたらいいかわかんない」「普通に暮らしたいよ。もう闇金とかいこうかな」*お客さんに「それなら僕がなんとかする」と思わせます〉
さらなる特典はオープンチャットへの招待
『魔法完全攻略マニュアル』には、ターゲットの籠絡方法や合理的に金銭をたかる術の他、「色恋ラインの送り方」「病み営業指導」「トラブルにならない対処法」など、頂き女子が直面する様々な局面を想定した丁寧な指示が載っている。さらに1万円を払えば、追加で受けられる個別指導の他に、LINEオープンチャットへの参加が認められるという特典もついていた。
「オープンチャットには『りりちゃんクラブ』と『りりちゃんがっこう』の2つがあり、“頂き”に成功した女子たちの体験談が読めたり、これから頂き女子として大成したい人たちのための相談所になっていました。稀にりりちゃん自身が“おぢ”に実践したLINEの文面や、イラストと説明付きの画像を共有してくれることもあって、マニュアルに載っていないレアな情報として参加者たちに重宝されていました」(A子さん)
A子さんが参加したオープンチャットには、2020年時点ですでに300人ほどの“頂き女子”が集い、情報交換を行っていたという。渡辺容疑者は、X(旧Twitter)以外にも、TikTokなどの動画配信に登場し、新宿・歌舞伎町を中心に頂き女子のカリスマとして知名度を上げていく。りりちゃんの信奉者は増える一方だったが、「“個別指導”だけは怠ることがなかった」と別の20代女性のB子さんは言う。
「りりちゃんはLINEの返信は遅いものの、電話するといつもすぐに出てくれました。なかなか勇気が出ない私にも『信頼関係さえ作れば大丈夫』とか、『そういう“おぢ”には彼女ってワードをぶつけよう』とか、親身にアドバイスしてくれました。“頂き”に関係のない相談にも乗ってくれて『“病み”は営業するものだよ』と言ってくれたこともあった」
魔法をかけるための3か条
マニュアルの中では、「信頼関係構築」「お金を頂くための会話」「アフターケア」、この3点が重要だと繰り返し強調される。
〈基本的にラインを返してあげればトラブルはありません。感謝をたくさん伝えて上げましょう。上手くいけばまたお金をもらえます〉
B子さんは渡辺容疑者と8回ほど電話で話したが、毎回「アフターケアが一番大事。絶対、必ずして」と念押しされたという。
渡辺容疑者は警察の調べに対して「間違いない。詐欺になることはわかっていた」と容疑を認めている。詐欺の片棒を担いでいるという自覚のせいか、万全のアフターケアを施してきたマニュアル購入者から渡辺容疑者を恨む声は聞こえてこない。
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「週刊文春」では、今回の事件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。
文春リークス:https://bunshun.jp/list/leaks
(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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