水俣病“救済漏れ”賠償判決で控訴…熊本訴訟の行方は?「世論が変化している」鹿児島

公害・水俣病の救済を巡る動きです。大阪地裁は先月、救済対象から外れた人たち全員を水俣病と認める判断をしましたが、国などは今月10日、控訴しました。同様の裁判は熊本地裁でも鹿児島県内の在住者も加わって行われていて、来年3月に判断が示されます。鹿児島の原告が11日、街で声を上げました。「被害者を苦しめ続ける国・熊本県・チッソの許しがたい行為に、勝利するまで戦う」天文館の街頭で声を上げる、出水市の村山悦三さん(78)。水俣病の認定を求めて熊本地裁で訴訟を起こしている鹿児島の仲間6人とともに、救済を訴えました。しかし、11日の宣伝活動はいつもと違います。(村山悦三さん)「大阪地裁で完全勝利(認定)したが、きのうは控訴。本当に生殺しですよ」1956年に公式確認された水俣病。原因企業のチッソがメチル水銀を海に流し、汚染された魚介類を食べた住民らが手足のしびれなど神経障害を起こしました。2009年に救済措置が設けられましたが、地域の線引きなどを理由に対象外になった人たちもいて、村山さんもその1人です。体の異変に気づいたのは、物心ついた時からでした。(村山悦三さん)「朝晩、耳鳴りがしたり、味が分からなくなったり、特に不眠。足がしびれて。多くの方々が(救済されず)亡くなった。それを思うとひどい」こうした中、先月27日、大阪地裁は、救済を求めた原告128人全員を水俣病と認めて国などに賠償を命じ、「画期的な判断」として注目を集めました。しかし、原因企業のチッソに続いて、今月10日、国と熊本県は「過去の最高裁で確定した判決などと大きな相違がある」として控訴しました。同様の訴訟は熊本地裁でも行われていて、原告1405人のうち半数以上が鹿児島の人たちです。原告団の副団長を務める村山さんは救済の判断を求め、地裁に提出する署名を集めました。(村山悦三さん)「だいぶ違う、以前と。今度の大阪の判決で頑張ってくださいという声が多くなった」この後の集会でも「世論の変化」が、ひとつのキーワードになりました。(弁護団・村山雅則弁護士)「(大阪地裁の判決で)世論は確実に変わりつつある。国と熊本県とは裁判で対立関係だが、協力関係を築くことも大事」(村山悦三さん)「ここまで来たら、わずかではないか、最後の力を振り絞ろうと、その気持ちで原告全員で戦っていきたい」水俣病の公式確認から67年。原告の平均年齢は74.5歳と高齢化が進む中、訴えは司法に届くのか?判決は来年3月22日に言い渡されます。

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