「犬かと思って」振り返ったら「クマだった」…襲われた男性、両腕で頭覆い身をかがめると「逃げた」

18日午前7時20分頃、福井県勝山市村岡町浄土寺の畑で、農作業をしていた男性(72)がクマに襲われ、頭や首に2週間程度のけがを負った。福井県内で人がクマに襲われた被害は今年初めて。付近の小中学校では一斉下校を実施した。県は「クマの食料になるものは撤去し、夜間の外出を避けてほしい」と呼びかけている。
市の発表では、襲ったのは成獣1頭とみられ、近くの山林に逃げたという。被害の1時間前には現場の約1・3キロ北西で親子とみられるクマが目撃されていた。
男性は読売新聞の取材に、「犬が近づいてきたのかなと思って振り返ったら、クマだった。これまでは夜によく見かけたが、まさか朝に出くわすとは」と話す。男性によると、同日午前7時頃から自宅そばの畑で作業中、左後方から近づいたクマに爪で引っかかれた。男性が両腕で頭を覆ってその場で身をかがめると、クマは逃げたという。
被害を受け、現場の約600メートル西にある市立村岡小では同日午後、児童が迎えの保護者の車に乗ったり、鈴を持った教職員と一緒に歩いたりして下校した。
1年男児と2年女児のきょうだいを迎えに同小を訪れた母親は「ニュースで知り、怖いと思った。当分は登下校の送り迎えをしたい」と話した。
福井県は18日、クマの出没に関して市町などと協議する対策会議を開催。住民に▽クマの食料になり得る柿や生ごみなどの撤去▽夜間の外出を避けること▽戸締まりの徹底――などを呼びかけると申し合わせた。
県自然環境課は「外出時は鈴などでクマに人の存在を知らせ、遭遇したら刺激せずにその場で体を守ってほしい」としている。

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