世界の投資家から熱い視線を注がれ、株高に沸いている日本。だが、背後では金融商品を巡るトラブルが相次いでいる。警戒すべき金融商品と、そのカラクリを熟知して情報強者となるべし! 今回は、仕組債(EB債・リンク債など)について解説していく。さらに、“投資の玄人”も引っ掛かったという診療報酬債権ファンドについても見ていこう。 ◆【仕組み債】被害者続出で訴訟ラッシュ必至 「僕が買ったのは日経平均に“リンク”する仕組債。’14年に『国債のようなものなのに年利4%』と勧められたんです」 こう話すのは都内に複数の高級賃貸マンションを保有するオーナー業の50代男性だ。 「でも数か月で早期償還されてわずかなリターンしか出なかった。勧められるまま何度か仕組債を買いましたけど……周囲のずっと買い続けた人は軒並み大損したようです」 ◆「『債券とは名ばかりのハイリスク商品』が仕組債」 そんな怪しい香り漂う仕組債の代表格は、個別株に連動するEB債と株価指数に連動するリンク債。ジャーナリストの浪川攻氏が話す。 「簡単に言うと、債券にオプション取引を組み合わせた『債券とは名ばかりのハイリスク商品』が仕組債。一般に、日経平均などのプット(売る権利)オプションを買っておくと急落リスクをヘッジできるが、売りの場合は急落時に無限の損失リスクが発生する半面、平常時は安定してオプション料を受け取れる。その『オプションの売り』を組み合わせて、仕組債は高い利回りを生み出している」 相場が好調のときには早期償還される。日経リンク債なら、指数が5%上がると早期償還されて元金が戻り、反対に30%下がると「ノックイン」で元本割れする商品が多いという。 「“債券のフリ”をして、売り手は仕入れ値に大きな利益を載せて売っている。金融庁は『購入者が年率10%程度のコストを負担している』と警鐘を鳴らしています。だから、早期償還を繰り返し、売り手は何度も売りつけようとする」 高コストでハイリスクならば……購入する理由はなし! ◆賢者が買わないワケ ①債券のフリしたハイリスク商品 ②急落相場で無限のリスクを負うことも ③“見えない”購入コストは8~10% ◆【診療報酬債権ファンド詐欺】“投資の玄人”も引っかかった 「信頼するFPに勧められて、資料を読み込んだら“堅い”商品だと感じたんです」 こう話すのは’13年にアーツ証券(’16年に破産)から「レセプト債(診療報酬債権)」を購入した50代の兼業投資家だ。レセプト債とは医療機関から買い取った診療報酬請求債権をまとめてファンド化した商品。国が支払う診療報酬を裏付けにした商品だと説明され、700万円投資したという。